縮みゆく自治体 データで見る住民帰還 <あの日から・福島原発事故10年>

2021年1月18日 12時00分
 東京電力福島第一原発事故による政府の避難指示は、2020年3月までに全11市町村で解除が進んだ。放射能で広く汚染された地域では大規模な除染とインフラ整備が行われ、避難先から戻る住民もいるが、その数は依然として少ない。全住民の避難を強いられた8町村は、人口も減少の一途をたどっている。このうち人が暮らすことが可能となった7町村では、若い世代が少なく、高齢者が増加傾向で自治体の存続自体が危ぶまれる。(小川慎一)
 11市町村の2020年12月時点の居住率をみると、放射線量が高く人の立ち入りが制限されている帰還困難区域が残る自治体は低い。17年春に避難指示が一部解除された浪江町は、2010年には2万人以上が住んでいた。今は人口が約1万6000人にまで減り、居住率は9.1%。同時期に解除された富岡町も居住率は12.6%にとどまる。

◆居住率に明暗 戻っているのは高齢者

 全住民の避難を強いられた楢葉町は居住率が59・6%。15年9月に避難指示が解除され、帰還困難区域も残っていないことが影響している。
 居住者の年齢構成に目を向けると、65歳以上の人が占める高齢化率の上昇が著しい。飯舘村では56.4%に上昇。居住率が低い浪江町でも高齢化率は38.1%と、事故前よりも12ポイント上がっている。
 こうした状況では高齢者福祉のニーズが高まるが、人が増えない自治体では介護職員の確保が困難。施設のある自治体に「避難」する例も増えていきそうだ。

◆「戻らない」5割 避難先で定住

 避難者が地元に戻る可能性が増える見込みもない。復興庁と自治体が避難世帯向けに実施した19年度の調査では、双葉町や浪江町では5割以上が「戻らない」と回答。富岡町も5割弱。多くが避難先に持ち家を所有し、定住している。
 若い世代にとっては、学校など子どもへの教育環境が整っていないことや、放射能汚染への懸念もブレーキとなっている。政府は昨年6月に福島復興再生特別法を改正し、被災地支援に移住の促進を盛り込んだ。21年度からは、被災地への移住者を対象に1世帯(2人以上)に最高200万円の支援金を出す予定だ。

◆福島県では3万人以上が避難を継続

 東日本大震災で全国に避難する福島の被災者は、復興庁のまとめでは2020年11月時点で、約3万6000人。うち福島県内に避難しているのは約7400人で、3万人近くが県外避難を続けている。震災1年後からの経過をみると、東北3県(岩手、宮城、福島)の避難者数は年々減少しているが、福島県では県外避難者の減り方が鈍い。津波被害だけではなく、原発事故による放射能汚染の影響が尾を引いている。
 福島県から県外へ避難した被災者の5割以上は、首都圏にいる。昨年11月時点のデータをみると、茨城県、栃木県でピーク時からの減少幅が小さい。福島県に隣接する地域で、定住しているケースが多いとみられる。

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