「実証主義の精神、次世代に」半藤一利さんと親交、ノンフィクション作家保阪正康さん

2021年1月14日 06時00分
 90歳で死去した半藤一利さんと親交が深かったノンフィクション作家の保阪正康さんが本紙の取材に答え「半藤さんの精神を受け継ぎ次の世代に伝えることが、供養になる」と語った。

平成と皇室について話す半藤一利さん(左)と保阪正康さん=2019年2月、東京新聞で

 初めて会ったのは昭和50年代初頭ごろだったか、半藤さんは「文芸春秋」の大編集長で、僕は物書きとして2、3冊の本を出したころ。半藤さんはその後、近現代史を中心とする物書きになった。
 本当に親しくなったのはこの20年ほど。新聞紙面や公開での対談は約50回を重ね、対談本も10数冊出している。言葉を少し聞くだけで、半藤さんの考えが分かるようになった。
 半藤さんはアカデミズムとジャーナリズムの中間を行き、当事者の話を聞いて、史料を調べ、現場を歩く実証的なノンフィクションの手法を切り開いた。僕にとっては師であり、リーダーだった。
 近年、戦争が遠い過去のこととなり、歴史を都合よく解釈する人々が出てきた。半藤さんはこの状況に不安を感じていた。東京大空襲で九死に一生を得た体験も「当時はみんな苦労したから」と長く語ってこなかったが、「言わないと歴史に埋もれてしまう」と最近になって語り始めた。その点では「志いまだ成らず」というところではないか。
 近くで見ていて、半藤さんの実証主義はよく分かった。亡くなったのはショックだが、その精神を受け継ぎ次の世代に伝えることが、供養になるのだろう。(聞き手・荘加卓嗣)

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