政府の「限定的・集中的」コロナ対策は早くも頓挫 菅首相、甘い見通し 緊急事態宣言の対象拡大

2021年1月14日 06時00分

新型コロナウイルス感染症対策本部会合で緊急事態宣言対象地域の拡大などについて発言する菅首相

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、菅政権が首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を再発令してから1週間足らず。愛知、大阪など7府県を対象地域に追加し、菅義偉首相が当初に力説していた「限定的・集中的」な対策は早くも転換を余儀なくされた。感染拡大の速度に対策が追いついていない状況で、見通しの甘さは否めない。(上野実輝彦、井上峻輔)

◆支持率の急落も意識か

 西村康稔経済再生担当相は13日の衆院議院運営委員会で、知事からの要請がなかった福岡県を緊急事態宣言の対象に加えた理由について「要請のあるなしにかかわらず、国として責任を持って判断していく」と強調した。
 これまで菅政権は、知事からの要請を受けた後に再発令の是非を判断する姿勢を見せていたが、福岡に関しては先手を打った形。西村氏は「新規陽性者が高い数字で、医療提供体制も逼迫している」と説明する。
 政権が「先回り」を意識するのは、政権のコロナ対策が世論や野党から「遅すぎる」と批判され、内閣支持率の急落にもつながっているからだ。

◆「1年学んだ」と強調するが…

 首相は昨年12月25日の記者会見で、緊急事態宣言を出す考えがあるのか問われた際、専門家の見解を引用する形で「今は宣言を出すような状況ではない」と明言。だが、感染拡大は収まらず、1月4日の会見では一転して1都3県への再発令方針を表明した。
 首相は4日の会見で「1年間のコロナ対応で学んできた。限定的、集中的に行うことが効果的だ」とも主張。いち早く飲食店の営業時間短縮要請に取り組んだ大阪府を「(感染者減の)結果が出ている」と評価したが、直後から府内の感染者は急増に転じており、政権として学んできたことを十分に生かしているかには疑問符が付く。

 首相は13日、海外からの入国全面停止措置を発表したが、主体的とはいえず「日本で変異種が市中感染を引き起こすようになれば、政府の責任は重大だ」(自民党中堅)といった与党の突き上げを受けての対応だ。コロナ禍でも経済活動を重視してきた政権には今も「経済を完全に止めたくない」(首相周辺)との考えが強い。
 昨年来の経緯を見ても、これで感染拡大に歯止めがかかる確証はない。首相は13日の記者会見でも「1年の経験に基づき徹底的な対策を行う」と重ねて強調したが、大阪への対処方針の変化を指摘されると「昨年の暮れごろは一時、(感染者数が)下降したのは事実」と釈明。同席した感染症対策分科会の尾身茂会長は「一時、国と自治体の一体感が必ずしもなかった」と一致協力した対応を促した。

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