<ふくしまの10年・イチエフあの時 続く苦闘編>(8)大雨、夜中に呼び出し

2021年1月14日 07時21分

汚染水漏れを受け、現場はタンク周りにたまった雨水を移送する作業に追われた =2013年、東京電力提供

 二〇一三年八月に起きた東京電力福島第一原発(イチエフ)のボルト締め型タンクの汚染水漏れ事故を受け、現場では大雨時、大変な緊張を強いられることになった。
 タンク群ごとに汚染が広がらないよう堰(せき)が設けられているが、大雨が降ると池のようになる。九月までの点検で、過去に汚染水漏れが起きた可能性のあるタンク群が十一あることが判明。これらの区画にたまった雨水は、放射性ストロンチウムなどで汚染されていることも分かり、放置できなくなった。
 「堰の高さは約三十センチ。大雨や台風の前には中の水を抜いておかないと、あっという間に超えてしまう」と作業員。大雨予報の時は呼び出しに備えて待機。夜中に呼び出されることもあった。「事前に移送のためのポンプやホースを準備するが間に合わない時も。堰内の水があふれれば、雨水なのか汚染水なのか分からない中での作業になった」
 水漏れリスクの小さい溶接型タンクに切り替えるには、時間がかかる。当面はボルト締め型タンクを使うしかなかった。リスクを下げるためタンクとコンクリート基礎の間の止水を強化し、タンク底板の接ぎ目を止水材で覆う。汚染雨水の対策としては、堰をかさ上げし、タンク上部に雨どいを付け、タンク周りはシート屋根−。現場作業はどんどん増えていった。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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