<解説>2回の弾劾訴追は史上初 トランプ氏の不名誉は永遠に

2021年1月14日 10時48分

6日、米ワシントンで連邦議会議事堂になだれ込むトランプ大統領の支持者=ロイター・共同

 在任中、2回弾劾訴追された史上初の大統領―。連邦議会の襲撃という民主主義国の歴史に大きな汚点を残したトランプ氏は今後、その不名誉を永遠に刻まれ続ける。
 前回は、ロシアとの紛争を抱えるウクライナに対し、軍事支援の見返りにバイデン氏や同国のガス会社役員を務めていた同氏の次男に関するスキャンダルを探すよう圧力をかけた「ウクライナ疑惑」で訴追された。政敵・バイデン氏を追い落とし、なりふり構わず大統領再選をもぎ取ろうとする姿勢は今回と共通する。
 ウクライナ疑惑では、外国政府に大統領選への介入を促したことが問題視された。共和党が上院での証人尋問をかたくなに拒否したためトランプ氏は無罪となったが、下院公聴会では部下である政府高官から「外交の私物化」を訴える証言が相次いだ。
 今回は、虚偽に満ちた発言で「私の大勝利が盗まれた」と自国民をだまし、選挙結果を覆すため暴徒を扇動。「言論の府」を襲撃し占拠する事件を引き起こした。より直接的で悪質かつ深刻だ。民主党議員は討論で「反乱」を通り越す「クーデター」の試みと非難。10人ではあるが、トランプ氏やその支持者からの報復を覚悟で共和党から賛成者が相次いだのも、このままでは民主主義が損なわれるという危機感からだろう。

13日、ワシントンの米連邦議会の近くで、ファシストの追放を訴える横断幕を掲げる人々=UPI・共同

 下院民主党による退任直前の大統領に対するスピード訴追には拙速との批判もある。上院で多数派の共和党は20日のトランプ氏退任後に対応を先送りした。党派対立が激しい中、弾劾そのものの重みも問われているが、暴徒を「偉大な愛国者」呼ばわりし、5人の犠牲者を出してなお、扇動演説は「全く適切だった」と開き直る国の指導者の責任をあやふやにすべきではない。(ワシントン・岩田仲弘)

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