猫の死相次ぐ「猫の街」… 毒物?それとも…住民に広がる悲しみと不安

2021年1月14日 15時00分

地域でかわいがられていた猫のうちの一匹=東京都葛飾区で(山口忍さん提供)

 東京都葛飾区鎌倉4で、地元の人たちがかわいがっていた「地域猫」が相次いで命を失った、と小学生の男児から「ニュースあなた発」に投稿があった。地元の人に聞くと、京成小岩駅周辺の江戸川区と葛飾区にまたがる半径100メートルほどの範囲で昨年11~12月、少なくとも8匹の地域猫が死んだ。一帯は、児童文学「ルドルフとイッパイアッテナ」の舞台となった「猫の街」。原因ははっきりしておらず、猫を見守ってきた人たちは心を痛めている。 (佐藤大)

◆昨年11月から次々と…

 地元の人たちによると、最初に地域猫が死んだのは昨年11月末。葛飾区鎌倉4の古沢亜希子さん(49)方の軒先で、地域の人らがかわいがってきた猫が急にぐったりした状態となり、2日後に死んだ。

猫がぐったりしていた場所を示す古沢さん(左)と山口さん=東京都葛飾区 で

 同じ場所や近くで、翌週と翌々週も別の猫がぐったりして、後に死んだ。そのほか、鎌倉4や100メートルほど離れた江戸川区北小岩6で、少なくとも猫計5匹が死んだ。ほかにも、急に姿を現さなくなった地域猫もいるという。

◆「腎臓にあり得ない異常」

 住民に運び込まれた猫を診察した動物病院の医師は取材に「普通に生活していたらあり得ない腎臓の数値だった。毒物を食べた可能性はある」と答えた。別の動物病院の医師は、腎臓の数値が高かったとした上で「野良猫なので診察の履歴がなく、原因は分からない」と話す。
 多くは、野良猫の殺処分を減らそうと、捕獲して避妊手術を施した後、地域に戻された猫たち。手術後に耳の先をV字にカットすることが多く、「さくら猫」とも呼ばれる。
 古沢さんによると、自身が幼い頃から、一帯はいつも野良猫の歩く街だったといい、「こんなに猫がいないことは初めて」と困惑する。一緒に猫をかわいがってきた山口忍さん(51)は「猫と共存する街に戻ってほしい」と願う。住民たちは管轄する葛飾署と小岩署に相談している。

◆児童文学やアニメにも描かれる

地元の千代田通り商店街には「ルドルフとイッパイアッテナ」の石碑が置かれている

 「ルドルフとイッパイアッテナ」は、北小岩出身で現在、亜細亜大教授を務める斉藤洋さん(68)の作品で1987年に出版されたロングセラー。岐阜から北小岩にやって来た黒猫「ルドルフ」と、「イッパイアッテナ」たち猫や人々との交流を描いた心温まる物語で、京成小岩駅周辺の商店街などが舞台となっている。2016年には同名のアニメ映画が全国上映され話題となり、地元には作品に関連する石碑も設置されている。
 斉藤さんは取材に「猫がかわいそうということだけでなく、地域に不安が広がってしまう」と心配する。死んだ原因は分かっていないが「もしも猫が嫌だと思う人によるものなら、意見を表明して、話し合うべきだ。それが民主主義だ」と話している。

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