初の大学共通テスト、感染対策「万全期す」 山本・入試センター理事長に聞く

2021年1月15日 06時00分
 初めての大学入学共通テストが16日から行われる。新型コロナウイルスが日本で確認されてから15日で1年となり、1都3県や栃木県は緊急事態宣言のさなか。例年50万人以上の受験生が集まる全国の試験会場の感染対策や新テストの意義について、運営団体「大学入試センター」の山本広基理事長に聞いた。(土門哲雄)

◆発熱、せきあれば無理して受験せず、追試験申請を

 ―感染防止対策は。

大学入学共通テストと新型コロナ対策について話す大学入試センターの山本広基理事長=東京都内で

 専門家の意見を聞きながら準備してきた。試験中は自席で問題を解き、他人と交流しないのでリスクは比較的低い。健康管理に気をつけ、発熱やせきがあるなど体調が万全でなければ無理して受験せず、追試験の申請をお願いしている。
 ―濃厚接触者とされた受験生は。
 PCR検査の結果が陰性で当日も無症状など一定の要件を満たせば別室で受験できる。満たさなければ追試験の申請を。通常は病気になった場合に追試験を受けるには診断書が必要だが、今回は「自宅待機を要請された」などの理由で診断書がなくても申請できるよう柔軟に対応する。

◆マスク義務付け、フェースシールド、マウスシールドのみはダメ

 ―当日は。
 マスク着用を義務付けている。フェースシールド、マウスシールドのみは認めない。昼食は自席でとり、会話を控えてもらう。会場周辺での塾関係者の激励なども自粛をお願いしている。
 会場で体調不良になった場合に備え、医師、看護師などの態勢も手厚くする。受験生には当日までの「健康観察記録」を記入した「受験上の注意」を持参するよう呼び掛けている。これまでは追試験を1日単位でしか認めていなかったが、今回は科目単位で受けられるように変更した。
 ―新試験でどう変わる。
 これまでも単なる知識を問うだけでない「良問」と評価を頂いてきたが、さらに思考力、判断力、表現力などを重視した形になる。
 これまでと傾向が多少変わるところもある。2017、18年度に試行調査(プレテスト)を実施した。複数の資料から読み取れる内容を考えたり、実用的な場面と結びつけたりした出題があり、問題をしっかりと読み解く力が必要になると思う。

◆英語民間試験などは採点の不公平性を懸念

 ―英語民間試験と国数の記述式導入は19年11~12月に見送られた。
 採点の不公平性などの懸念があった。共通テストに何でも盛り込むのではなく、大学で教育を受けるのに必要な学力が備わっているかを問うシンプルな形にして、各大学の試験との役割分担をハッキリする必要があると思う。
 ―受験生には。
 英語民間試験や記述式の見送りは申し訳なかった。コロナ禍もあり、とても不安な気持ちで入試を迎えると思う。安心して日ごろの力を出し切れるよう準備に最善を尽くし、万全を期したい。

 大学入学共通テスト 1990年に始まった大学入試センター試験の後継として今年初めて実施。出願者は53万5245人。うち53万4527人が第1日程(1月16、17日)を選び、681会場で受験する。昨春の一斉休校で学習遅れがあると校長が判断した現役生の第2日程(30、31日)は718人。第1日程の追試験を含めた第2日程は全都道府県の64会場。センター試験同様6教科30科目でマークシート方式。共通テストを利用する大学などは866校で過去最多

◆志望動向は「地元志向」「資格系学部は人気」

 今年の受験生の志望動向について、大手予備校河合塾の富沢弘和・教育情報部長は「地元志向」と「資格系学部の人気」を挙げる。コロナ禍で特に首都圏の大学を避ける傾向があり、教育、医療系など資格を取れる学部の人気が高まっているという。「景気や就職環境の悪化が影響しているのではないか」と指摘する。
 2月からは各大学の個別試験が始まる。横浜国立大は昨年7月、個別試験を取りやめ、共通テストなどで選抜すると公表。感染状況によっては同様の対応をするとしている私立大もある。富沢さんは「予定通り試験が行われると考えて、受験生は地に足を付けて勉強し、自信を持って試験に臨んでほしい」と話す。

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