北朝鮮党大会 非核化の意思見えない

2021年1月15日 06時58分
 北朝鮮の第八回党大会が閉会した。非核化への言及はなく、逆に国防力を強化し、米国に対抗する姿勢をあらわにした。これでは国際社会からの孤立がいっそう深まり、経済もじり貧となるだけだ。
 五年ぶりとなる今回の朝鮮労働党大会はコロナ禍、国際制裁、水害の「三重苦」の中で開かれたため、どんな対外メッセージが出されるかに注目が集まった。
 新たに総書記のポストについた金正恩氏の発言は、「核戦争抑止力の強化」など軍事力の増強に重きが置かれた。残念ながら「非核化」に関する発言は聞かれないままだった。
 米朝首脳会談などの場で正恩氏は、繰り返し非核化の意思を表明していたが、本心ではなかったということか。
 逆に、原子力潜水艦や極超音速兵器、小型の戦術核兵器などの開発に取り組むと明言した。
 米国を「最大の主敵」と呼び、韓国には、米韓軍事演習を中止するよう要求した。
 今月発足するバイデン政権は、北朝鮮にいきなり非核化を求めるのではなく、同盟国と協議を重ねながら、段階的な核軍縮交渉を行うとみられている。
 このため正恩氏は、「核保有国」としての立場を固め、交渉を有利に運ぶ狙いなのだろう。
 このような攻撃的な姿勢では緊張が高まるだけで、北朝鮮が望む交渉や制裁解除は遠のくはずだ。
 一方、経済面でみると北朝鮮の状況は危機的だ。正恩氏が開会の演説で、国家経済の発展目標としていた五カ年戦略に関し、「ほぼすべての部門で大幅に未達だった」と認めたことからも分かる。
 国際社会からの制裁に加え、新型コロナウイルスの流入防止のため、国境を完全封鎖していることが状況を深刻化させている。
 食料事情はすでに切迫しているようだ。自国で生産できない調味料や砂糖の価格が、約四倍に急騰したとも伝えられている。
 対策として正恩氏は、経済への国家統制を強め秩序を回復すると約束。住民の食料問題解決に全力を挙げる姿勢も強調した。
 ただ、今後も先端兵器開発に国家予算を優先配分するなら、経済も住民生活も苦しいままだろう。矛盾に早く気づくべきだ。
 制裁の解除や米国との協議を望むのなら、まず挑発的な言動を控えることが重要だ。
 国内の窮状を認め、韓国をはじめ国際社会からの支援を受けて着実に経済再建するしか道はない。

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