渋沢栄一を講談に 一龍斎貞花さん お江戸日本橋亭で初口演
2021年1月16日 06時43分
明治の実業家、渋沢栄一(一八四〇〜一九三一年)を主人公にしたNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の二月の放送開始を前に、講談師の一龍斎貞花さん(81)=葛飾区=が十四日、お江戸日本橋亭(中央区日本橋本町三)で自作の講談「日本経済の父『渋沢栄一』」を初演した。
新一万円札の肖像にも使われる渋沢は、現在の埼玉県深谷市出身。幕臣、大蔵官僚から実業家となり、第一国立銀行(現みずほ銀行)、東京ガス、東京証券取引所など五百社以上の設立に関わった。晩年は飛鳥山(北区)に住み、接客にも使われた建物「青淵(せいえん)文庫」などが今も残る。
生誕の地や記念館など渋沢ゆかりの地を訪ね歩き、数々の文献を調べた貞花さん。講談では、その生涯を青年期と実業家時代の二回に分けた。この日は、商才の片りんをのぞかせた子ども時代、徳川昭武(あきたけ)(十五代将軍・徳川慶喜の弟)に随行して欧州に渡り見聞を広めたエピソードなど、大蔵省に勤めたところまでの前編の「上」を語った。
西郷隆盛、慶喜、大隈重信らの著名人らが登場する展開に、新型コロナ対策で席の間隔をとった約四十人が聞き入った。貞花さんは「個人の利益の追求ではなく、公共のためを考えていた点が渋沢の魅力。私は保護司として活動してきたが、後編では、渋沢が更生保護事業に尽力したことにも触れたい」と話した。
後編の「下」は、四月六日午後五時五十分から、同会場での「貞花の会」で口演。前売り二千円、当日二千五百円。問い合わせ、申し込みは、貞花さん=電03(5673)2300=へ。 (井上幸一)
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