イスラエル、ワクチン接種は人口比で世界最速 1日に15万人のハイペース<新型コロナ>

2021年1月16日 21時38分
 【カイロ=蜘手美鶴】イスラエルで新型コロナウイルスのワクチン接種が、世界最速ペースで進んでいる。すでに国民の2割が最初の接種を終え、政府は3月半ばまでに5割超の接種を目指す。ネタニヤフ首相は自ら「第1号」となって積極的に接種を進めており、3月の総選挙に向けてワクチン接種を支持固めの道具にしている側面がありそうだ。

◆3月中旬には人口920万人の半数以上が終える見込み

 保健省などによると、接種は1日15万人ペースで進み、人口約920万人のうち19・5%が1回目を終え、60歳以上では72%が終了している。今後、1日17万人まで増やし、3月中旬までに500万人が接種を終える見込みという。
 10日には米製薬大手ファイザーなどが共同開発したワクチン70万~80万回分が空路で到着。空港で出迎えたネタニヤフ氏は「友人のファイザー最高経営責任者(CEO)とは、16歳以上の接種が終わるまでイスラエルにワクチンを送り続けることで合意している」と強調した。

◆首相の汚職疑惑から「国民の目をそらす狙い」と専門家

 イスラエルは昨年末に予算案を巡って国会が解散し、2019年4月以降、4回目の総選挙が決まった。ネタニヤフ氏は新型コロナによる経済低迷や自身の汚職疑惑で政府批判が強まる中、自らがワクチン接種する様子をテレビ中継するなど、実績のPRに余念がない。ベギン・サダト戦略研究センター(イスラエル)のゲイション・ハコヘン上級研究員は「選挙目的なのは間違いない。各問題から国民の目をそらすのが狙いだろう」と指摘する。
 イスラエルでは、15日の新規感染者は5235人で、累計死者は3910人。人口比の罹患率は世界的にみても高く、現在は3回目のロックダウン(都市封鎖)が続く。昨年末に最初の接種を終えたエルサレムのボッセムさん(62)は取材に「皮肉なことだが、ワクチン接種が選挙キャンペーンであっても、それがなければここまで早く接種できなかった」と話した。

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