住まなくてもいい、壊してもいい 奥多摩町の「0円空き家バンク」 関心高まる

2021年1月17日 07時04分

石居さんが譲り受ける予定の空き家

 空き家の管理に困って無料でも手放したいという家主と、アトリエなどとして使いたい人を結び付ける奥多摩町の「0円空き家バンク」事業が好調だ。昨年4月の開始以来、登録された物件3軒のうち1軒が契約済みで、残る2軒も交渉中。空き家が欲しいという人の登録は50人を超えた。 (林朋実)
 同町は定住推進のため、二〇一〇年度から空き家を貸したり売ったりしたい所有者と町に住みたい人をつなぐ「空き家バンク」事業を実施してきた。ただ、町内の空き家は五百軒以上あり、所有者が町外にいるなどの理由で手入れが十分にされていないものもある。町の若者定住推進課の新島和貴課長は「住める状態ではなく、空き家バンクへの登録を断った物件もあった」と明かす。
 また、空き家バンクは利用できるのが定住希望者に限られる。町に定住するつもりはないが、空き家を利用したいという希望も以前から同課に寄せられていた。これに対して0円空き家バンクは定住の必要はなく、譲られた物件をアトリエ、倉庫、アウトドア活動の拠点などとして自由に使える。建物を解体して土地だけを利用してもいい。
 一九一二(大正元)年築で、三十年間空き家になっていた物件を譲り受ける予定の石居薫さん(59)=渋谷区=は、長年カフェ経営に携わっていた経験を生かし、付近でハイキングやツーリングを楽しむ人たちが立ち寄れるカフェに改修したいという。
 「もともと倉庫を探していて見つけた物件。知人の大工の棟梁(とうりょう)に建物を見てもらったところ、かなり傷んではいるが、立派な大黒柱があって造りがしっかりしているから、今なら生き返らせることができると言われた。それを聞いて、建物に『直して』と頼まれている気がした」と話した。
 登録物件は原則土地付き。契約や登記費用は物件を譲り受ける側が負担する。新島課長は「空き家の管理や解体は所有者にとって負担になる。欲しい人に譲る仕組みを活用してもらい、管理の不適切な物件をなくしたい」と利用者増に期待している。

空き家の門構え(いずれも奥多摩町提供)


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