安野光雅さん死去 「ふしぎなえ」「旅の絵本」

2021年1月17日 07時10分
 空想的な絵本や幻想的な風景画で親しまれた画家の安野光雅(あんのみつまさ)さんが昨年十二月二十四日、肝硬変のため死去していたことが分かった。九十四歳。島根県出身。葬儀は家族で行った。
 山口県や東京都での教員生活を経て、画家として独立。一九六八年に最初の絵本「ふしぎなえ」を発表した。「さかさま」「ABCの本」など、視覚的トリックを用いたエッシャー風のだまし絵による絵本で、国内外を問わず人気を集めた。
 欧州や国内各地を旅しては温かみのある風景画を描き、「旅の絵本」シリーズや「津和野」などの作品集を発表した。司馬遼太郎さんの「街道をゆく」の取材にも同行し、挿絵を担当。歴史に題材を取った「繪本(えほん) 平家物語」では、絵巻のような繊細な物語世界を展開した。
 七七年に「あいうえおの本」でBIB金のりんご賞、七八年に「安野光雅の画集」でボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞、八四年に国際アンデルセン賞画家賞など、海外での受賞多数。八八年に紫綬褒章受章。二〇〇八年には菊池寛賞を受賞した。
 エッセイストとしても知られ「空想工房」などの多くの著作がある。

◆福島原発事故の本紙報道を評価

 本紙では二〇〇二年、文化面で「安野光雅の文字パレット」としてエッセーを連載した。一二年十月に本紙「原発事故取材班」が菊池寛賞を受賞した際、「文芸春秋」誌上で「涙ぐましい報道」と祝辞を寄せた。

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