水の都 三島が復活 「アジア都市景観賞」受賞 源兵衛川再生が評価
2021年1月17日 07時41分
アジアの景観を誇らしいものに導くため、模範となる優れた成果をあげた都市や事業を表彰する「アジア都市景観賞」に昨年、三島市の「水と緑の湧水網都市」創造事業が選ばれた。市民と行政が一体となった「水の都」再生が評価された。事業の仕組み作りを担った、同市のNPO法人グラウンドワーク(GW)三島が応募した。NPO、県内自治体の受賞は初めて。 (渡辺陽太郎)
富士山が水源の湧水が市内各地で湧いた同市は「水の都」だった。だが一九六〇年代以降、工場の水のくみ上げなどで湧水が減少、公害で川が汚れ、ごみも散乱。水の都とは呼べなくなってしまった。
九二年に発足したGWは、百回以上の市民向け説明会で再生への思いを訴え、市民とNPO、行政、企業が連携して再生に取り組む仕組み作りに尽力した。
どぶ川と化していた源兵衛川では二百五十回以上のごみ拾いを行った。地域企業は冷却水の放流を行って水量が復活した。ホタルの幼虫の放流や花の植栽も行われ、子どもが川遊びを楽しめる清流を取り戻した。
また周辺の親水公園により、観光客数は活動開始時の四倍となり、地域活性化にも貢献。活動には毎年、延べ一万人以上が参加する生活環境と地域貢献の社会モデルを築いた。
GWの渡辺豊博専務理事は「やってきたことに間違いはなかったと自信になった。事業はまだ途上。今後は三島外縁部の湧水地の整備も進めたい」と話した。
賞はアジアの人々の幸せな生活環境の構築を目標に二〇一〇年、国連ハビタット福岡本部(福岡市)など四団体が創設した。昨年は六カ国の二十四団体が応募。十三団体が受賞した。国内では、長崎市や大分市のまちづくりが選ばれた。
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