1000年に1度の高い海面水温 15年に1度の頻度に 日本の台風リスク高まる

2021年1月18日 10時19分
 1000年に1度起きるかどうかだった日本近海が夏に異常な高温となる頻度が、地球温暖化によって15年ほどに1度にまで増えている。国立環境研究所の研究チームが毎年8月の海面水温の分布を調べ、解明した。温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標を達成しても2年に1度以上と頻繁に起きると予測。台風が強い勢力のまま日本に接近しやすくなり、大雨や強風によるリスクが高まる。
 分析の対象となった本州南側の海域では昨年8月、観測史上最高の平均水温を記録。海面の8割で、台風の勢力を強めやすいとされる28度以上になった。
 国立環境研の林未知也特別研究員らは同じような水温になる確率を、過去の観測データや太陽、火山の活動などを考慮した気候のシミュレーションで計算。
 19世紀の産業革命以降の温暖化がなければ、1000年に1度以下しか発生しない水準の異常な高温だったことが分かった。結果は今月8日、米国の自然科学分野の学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載された。

◆パリ協定の目標を達成しても…

 海面の水温は温暖化した大気に温められた影響などで、1980年ごろから上昇傾向が続いている。林さんらの分析によると、世界の温暖化対策が現状のままなら10~30年後には、昨年8月の水温が2年に1度以上起きる。パリ協定の目標を達成しても、この発生頻度になる恐れが強いという。
 林氏は「かなり厳しい対策をしないと、防げない」と警鐘を鳴らす。
 海面水温が高くなると、大気中に含まれる水蒸気の量が多くなり、台風の勢力が強まりやすい。サンゴの壊滅を招く白化現象のほか、魚の生息域が変化して漁獲量の減少につながる懸念もある。(福岡範行)

 パリ協定 京都議定書に代わる地球温暖化対策の国際協定で、2020年1月から本格始動。21世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えるのが目標。先進国だけでなく発展途上国にも対策を義務付けている。温室効果ガスの主要排出国である米国のトランプ大統領は20年11月、協定を離脱したが、バイデン次期大統領は復帰する方針。

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