小池氏と都議会自民、犬猿の仲は過去のもの? 今夏に都議選 不透明な戦いの構図

2021年1月18日 06時00分
 任期満了(7月22日)に伴う東京都議選(定数127)は、新型コロナウイルス禍の中、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が審判を受ける機会となる。都民ファは前回、小池氏が先頭に立って都議会自民党を退け、大躍進。ただ今回は感染拡大で都政のかじ取りが厳しさを増す中、小池氏と自民の関係に変化の兆しも。前回のような明確な争点はまだ見えず、各党を巻き込んだ戦いの構図は流動的だ。

2021年度予算編成に向けて、都議会自民党幹部の要望を受ける小池百合子知事(左から3人目)

◆都民ファ内に不安の声

 「しっかり考えていきたい」
 昨年末、小池氏は本紙のインタビューで、都議選で都民ファをどう率いるのかを問われて、言葉を選ぶように語った。支援への明言はなかった。都民ファは1期生が7割を占め、地盤が弱い都議が少なくない。苦戦が予想されており、所属議員の中には「われわれは小池氏次第。もっとアピールしてほしいが…」と不安の声も漏れる。
 都民ファは小池氏が生みの親。2017年の都議選で都議会自民党を「古い議会」などと徹底的に批判し、公認50人中49人が当選、推薦の無所属を含めて55人の勢力を築く旋風を起こした。
 前回は、年末年始ごろには小池氏主宰の政治塾で候補擁立に向けた動きが活発化。だがいま、小池氏に都議選を巡る目立った発言はない。

◆「対立は望んでいない」

 背景には、小池氏に恨み骨髄だった都議会自民党の姿勢の変化もある。
 昨年7月、小池氏が再選した都知事選で、自民は対抗馬擁立を断念した。史上2番目の366万票を得た小池氏に、自民側は徐々に軌道を修正。「パフォーマンスありきで信用できない」などの激しい批判はすっかり影を潜めた。
 都議会自民幹部は「対立の構造はもう望んでいない。都民のためだ」とまで語る。小池氏と党本部の二階俊博幹事長の緊密さは知られるが、菅義偉首相との折り合いの悪さも有名だ。都議会自民として、コロナ対策でも政府とのパイプ役を買って出ようとするメッセージを送る。
 小池氏もかつてのように「しがらみだらけだ」といった激しい自民批判はみられない。庁内には自民との接近を感じる向きが出ている。自民都連関係者は小池氏の姿勢に「うまく都政を回して、国政に戻るタイミングを計るのではないか」と受け止める。

◆「根底には相互不信」

 ただ「根底には相互不信がある」と都幹部がみるように、今後の距離感がどうなるかは不透明だ。
 菅政権はコロナ対策への批判で支持率が低迷。政府のコロナ対応に世論の批判がさらに募れば、自民は強い逆風下で戦うことになる。23区の区長の1人は「小池氏は主導権をとり続けるためにも自民の大勝は望んでいない。自民の状況次第では対決に持ち込むのでは」とみる。
 一方、小池氏のコロナ対策も時短営業要請の遅れが指摘されるなど、万全ではない。都民ファにとっては小池氏のコロナ対策の成否も死活問題。つまずけば、自分たちへの評価に直結する。別の所属都議は「いまは世論の小池氏の評価はいいと思うが…」と先行きに目を凝らす。
 2月中旬には新年度予算案を審議する都議会定例会が始まる。国や都政のコロナ対策の成否をにらみながら、各勢力の駆け引きが本格化する。(小倉貞俊、松尾博史、岡本太)

◆立民と共産、協力を模索

 都議選に向けた主な勢力の動きは、これまでに都民ファは現職40人の公認を発表。自民は53人の公認を決め、60人程度の擁立を目指す。
 都民ファとともに、小池都政を支える公明は23人を立て現有議席死守の構え。前回は都民ファと選挙協力したが、昨年7月の都議補選は、自民候補を推薦し、自民の4選挙区全勝を後押しした。都議会の自公関係も焦点だ。
 「小池都政をしっかりチェックする」と対立軸を示す立憲民主党は、最大40人を立てる方針。共産党も30人以上の擁立を目指している。立民と共産は選挙区調整など相互協力を模索。ほかに日本維新の会の地方組織、東京維新の会も20人程度の候補を立て、勢力拡大を狙う。

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