米軍基地問題「慣れは怖い」 沖縄・普天間高生と市川・国府台高生が手紙交流

2021年1月18日 07時32分

沖縄の米軍基地問題を話し合う国府台高校の生徒=市川市で

 米軍基地問題を、同じ高校生はどう考えているのか−。こんな思いから千葉県市川市の県立国府台高校一年の三クラスが、沖縄県宜野湾(ぎのわん)市にある県立普天間高校の生徒に手紙を送付。すると返事が届いた。現地の高校生の悩みで一番多かったのは、米軍機による騒音被害。基地があることを問題視する声より多かった。このため意見交換した国府台高生の間からは「長年にわたって基地があるから、慣れてしまうのはしょうがない。でも、慣れは怖い」などの意見が出た。 (保母哲)
 国府台高では現代社会の授業で、一年の三、四、五組が沖縄の基地問題を学んだ。生徒の中から「沖縄の高校生の声を聞きたい」との声があったことから、大塚功祐(こうすけ)教諭(39)は昨年七月、三クラスの生徒計百二十人にプリント(A4判)を配布した。
 プリントは上段に国府台高生、下段に現地の高校生に記入してもらう手紙形式で、生徒たちは米軍基地への思いなどを尋ねた。十二月、普天間飛行場に隣接する普天間高で政治経済を学ぶ二年生を中心に、返事が届いた。

【基地問題】

 国府台高生は「基地はいらない」といった声が多くを占めると予想していたが、少なかったことに驚きの声が上がった。「早く基地を返還してほしい」「沖縄に米軍基地が集中するのはおかしい」といった意見があったものの、「優しい米兵もいる」「基地内でバザーやパーティーが催され、基地のある生活は悪いことばかりではありません」と書いた生徒もいた。
 嘉手納町に住んでいる生徒は、基地反対運動に参加した経験を寄せた。「この町の80%以上が米軍基地。なのに私たちは、基地の中で何が行われているのかもよく分かりません。正直何もできないのが今の現状です」と複雑な思いをつづっていた。
 日米両政府は「普天間飛行場の全面返還」に合意し、移転先と決まった沖縄県名護市辺野古沿岸域で新しい基地の建設が進んでいる。「辺野古に移設しても、同じ沖縄県民が苦しむことになる」「両親とも基地で働いている。基地が辺野古へ移ったら、雇用はどうなってしまうんだろう」と記した生徒もいた。

周囲に住宅地などが広がる米軍普天間飛行場=沖縄県宜野湾市で

【騒音被害】

 「授業で先生の声が聞き取れない」「教室の窓がガタガタ揺れる」「リスニング試験で音声が聞こえない」−。普天間高生からの手紙で一番多かったのが、騒音問題だった。
 基地周辺では環境基準値をはるかに超える騒音が測定されており、米軍機や輸送機オスプレイが「学校の真上を通り、ゴゴゴみたいな音がよく鳴ります」と、授業や生活に支障が出ていると伝えていた。普天間高生の手紙では、沖縄以外の日本を「内地」「日本本土」と表現していたことも、国府台高生を驚かせた。

【その他】

 米軍による暴行事件が相次いでいることから、「夜間に出歩くなと言われている」。二〇〇四年には米軍ヘリが沖縄国際大学構内に墜落・炎上し、一七年には米軍ヘリの窓が普天間第二小学校に落下した。事故が相次いでおり、「グラウンドに出るのが怖い」といった声もあった。
 こうした手紙を読んだ国府台高一年四組の授業で、生徒たちは基地問題の解決策として「日米両政府の話し合いが大切」「まずは、沖縄の基地問題を理解しないといけないのでは」などと話し合った。
 基地問題以外に、手紙では「沖縄でおいしい食べ物は」「お勧めの観光地は」などのやりとりや、「コロナ禍でも、お互いに頑張りましょう」とエール交換も。大塚教諭は「沖縄の高校生の生の声が聞けて良かった。この問題に答えはないが、生徒たちは授業で懸命に解決策も考えていた」と話している。
<普天間飛行場> 沖縄県宜野湾市中央部にある米海兵隊の基地。面積は約4・8平方キロで、東京ドーム約100個分。市面積の約25%を占めている。密集した住宅地に隣接しているため、「世界一危険な米軍基地」と評されることもある。
 第2次大戦末期の沖縄戦で、米軍は本土空爆用の基地にするため住民から土地を強制収用。滑走路を建設したのが基地の始まりだった。沖縄県外にある米軍基地のほとんどは国有地だが、同県内の多くは市町村の所有地や民有地に設置されている。普天間飛行場は約92%が民有地。

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