コロナ禍で虐待やDVのリスク増…国立市の事業が安全確保に効果 公的シェルターに入れない女性の避難費用負担

2021年1月19日 07時49分

虐待やDV被害女性の相談の様子=国立市役所で(同市提供)

 コロナ禍で虐待やDVのリスクが高まる中、困難を抱えた女性を支援する東京都国立市の「女性パーソナルサポート事業」が、女性の安全確保に効果を上げている。公的シェルターに入れない事情のある女性の一時的な避難先での滞在費用を負担する仕組み。被害女性の支援団体は「当事者に合わせた多様な選択肢がない中、いい制度だ」と評価している。 (竹谷直子)
 同事業はDVや貧困、虐待などの被害女性に対する支援を目的に、毎年三百万円余を予算計上。一時的な宿泊費を負担するほか、民間団体による自立支援に必要な資金も提供する。二〇一九年四月の制度開始から今年一月上旬までに十三人の女性が避難先での一時滞在に利用した。
 一時的な避難場所としては都道府県が運営する公的シェルターがあるが、支援団体「全国女性シェルターネット」の北仲千里共同代表は「さまざまな理由で入れない女性もいる」と説明する。例えば、安全確保のために外出制限や携帯電話禁止といった規則があり、仕事を続けたい、友人との連絡を保ちたいという女性は敬遠しがちだ。小学校高学年以上の男児は一緒にシェルターに入れず、利用をためらう女性もいる。
 前夫からDVを受けていた女性は、コロナ禍で前夫が在宅勤務になり、身の危険を感じて市に相談。紹介された民間シェルターを一時利用し、現在の生活は安定しているという。「仕事を続けたかったので、公的シェルターに入ることは難しかった。公的シェルターしかないと言われれば、前夫の元に戻っていたかもしれない」と明かす。
 国立市では本年度、DVや虐待の相談件数が昨年度の約四百件から倍以上に増える見込み。市の担当者はパーソナルサポート事業を始めてから「今までは帰ってもらうしかなかった女性を支援することができるようになった」と話す。北仲さんは同市の制度を評価しつつ「本来なら国が支援すべきだ」と指摘。「すべての地域に民間シェルターがあるわけではない。公的支援も柔軟な対応をしていくべきだ」と語った。

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