大雨特別警報 避難情報との混乱防げ

2021年1月20日 07時17分
 大雨などの災害時に自治体が出す「警戒レベル」の呼称や区分を整理した災害対策基本法改正案が通常国会に提出される。別に気象庁の「大雨特別警報」などがあり、混乱を防ぐ工夫を進めてほしい。
 改正案では、レベル5の呼称は「災害発生情報」からより切迫した「緊急安全確保」に変わる。また、レベル4に同居し、違いが分かりにくかった「避難指示」と「避難勧告」を「避難指示」に一本化。レベル3を「避難準備・高齢者等避難開始」から「高齢者等避難」と簡潔にした。
 これで警戒レベルの呼称は、高い順に、レベル5=緊急安全確保▽同4=避難指示▽同3=高齢者等避難(以下略)−になる。いずれも、危機状況を簡潔に伝えるため有識者らの議論を経て改めた。
 別ルートで気象庁の注意報や警報、特別警報などがある。特別警報は東日本大震災を契機に始まり、大雨だと「数十年に一度の雨量が予想される場合」に出る。
 同庁は創設の理由を「既存の警報などが住民の迅速な避難につながらなかったため」としていたが、現在は「大雨特別警報の発表前に避難を終えていてほしい」と、避難の判断材料にしてもらう情報ではないと強調している。
 昨夏の熊本豪雨では、球磨村の老人ホームの十四人が死亡するなど大きな被害が出た。この際は、村の避難指示の一時間余り後に大雨特別警報が発表された。数日後に岐阜県を襲った豪雨でも特別警報は避難指示の数時間後だった。
 同じ特別警報でも「津波」や「火山噴火」は避難や避難準備を求める趣旨でもあり、自治体の避難指示が出ても「大雨特別警報はまだだから」と避難をためらう意識につながった可能性も指摘される。
 同庁はHPで「特別警報が発表されないからといって安心することは禁物」と明言しているが、大雨特別警報が「避難していない場合でも家屋内でより安全な場所に移るなど、今すぐできる範囲で命を守る」というメッセージであることを一層、周知すべきだ。
 昨年の台風10号は九州直撃が予想され気象庁は接近の四日前から「特別警報級に発達する」と繰り返した。勢力の衰えなどから特別警報は出なかったが、自治体や住民の早い対応に寄与した。
 台風以外の豪雨は予測が難しいものの、大雨特別警報の住民への意義は「出た」ことより「出るかもしれない」と事前に呼び掛けることだともいえる。可能な限り「予告」を増やしてほしい。

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