バイデン新政権、単独行動主義から協調姿勢へ転換 TPP復帰は慎重 中国包囲網で足並みの乱れも

2021年1月20日 19時37分
バイデン米大統領(UPI=共同)

バイデン米大統領(UPI=共同)

 【ワシントン=白石亘】米国のバイデン新大統領は中国との貿易摩擦を巡り、トランプ大統領の単独行動主義を転換し、日本など同盟国と協力して対抗する方針だ。ただ米国は自国の産業を守る内向きな姿勢を強めており、対中包囲網は足並みの乱れも懸念される。

◆トランプ氏は中国との貿易戦争を誇る

 「重要なのは、歴史的に大規模な対中関税を発動したことだ。私が最優先してきたのは米国の労働者の利益だ」。トランプ氏は19日、退任演説で中国との貿易戦争を成果に挙げた。
 トランプ氏は「中国から雇用を取り戻す」と訴え、不公正な貿易慣行の制裁として中国の対米輸出の7割を超える年3700億ドル(約38兆円)相当の追加関税を発動。中国は昨年1月、米国製品の輸入を2年間で2000億ドル増やすことで米国と合意したが、現在の輸入額は目標から程遠い。

◆バイデン氏は「他の民主主義国と提携」と主張

 バイデン氏は、トランプ流の貿易戦争は米国の農家に打撃を与えたのに、中国の十分な譲歩を引き出せていないと批判。「中国に対抗してルールを決めるため、他の民主主義国家と提携する」と強調し、同盟国にも関税を振りかざすトランプ氏の手法と決別する方針だ。当面は対中関税を維持し、多国間の枠組みで圧力をかけ、国際的なルールに従わせるよう試みる。
 だが、バイデン氏も保護主義的な姿勢はトランプ氏と変わらず、連邦政府に米国製品の購入を促すバイ・アメリカン運動に4年間で4000億ドルを投じる。米中関係に詳しいジョージタウン大のアーサー・ドン特別招聘教授は「民主党の支持基盤は労働組合で、4年前にトランプ氏に労働者の票をさらわれた失敗を繰り返すことはできない」と語る。

◆日本やEUと足並みがそろうかが焦点

 このため同盟国との足並みがそろうか懸念も残る。例えば日本や欧州連合(EU)製の鉄鋼・アルミは現在、米国の制裁関税の対象だが、バイデン氏が協調路線に転じる証しに関税を撤廃すれば、労組や業界の反発を招く公算が大きい。
 これに対し、中国は昨年、主要国で唯一プラス成長を確保し、その巨大な国内市場はますます魅力が高まっている。中国が市場アクセスなどをちらつかせ、米国主導の対中包囲網の切り崩しに動くのは確実だ。
 元々、中国封じ込め策としてオバマ政権が主導した環太平洋連携協定(TPP)復帰にもバイデン氏は慎重だ。雇用が奪われるとして批判的な労組に配慮してだが、これを見透かして中国は昨年秋、TPP参加を「積極的に検討している」と表明し、けん制。バイデン政権が同盟国を巻き込み強固な共同戦線を張れるか、前途多難といえそうだ。

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