大麻の「使用罪」創設で取り締まり強化を検討 若者にまん延で危うい現状 厚労省、有識者会議で議論開始

2021年1月21日 05時55分
 若者を中心に大麻がまん延していることを受け、厚生労働省は、薬物対策を話し合う有識者による検討会をつくり、20日に初会合を開いた。大麻は覚醒剤など深刻な薬物の乱用に結び付く「ゲートウエー(入り口)ドラッグ」と位置付けられており、大麻取締法に「使用罪」を創設することを含めて検討する。今夏をめどに結論をまとめる。

◆検挙人数は6年連続で増加

 同省によると、大麻取締法違反で検挙された人は2014年から6年連続で増加し、特に若年層の乱用が目立つ。大麻成分を凝縮した「大麻ワックス」など人体への影響が高い製品が流通しており、対策が求められている。
 海外の一部で大麻を使用した医薬品の販売が始まっていることも踏まえ、薬物対策全体の見直しを検討する。
 同法は1948年に制定され所持や栽培を禁止するが、大麻草を栽培する農家が大麻成分を吸引する可能性があるとして、使用は禁止としなかったとされる。
 検討会の委員は法学や薬学、医学の専門家ら12人で構成する。

警視庁が押収した大麻草や乾燥大麻など

◆「海外では合法で、抵抗感なし」と30代男性

 厚労省の有識者会議が大麻取締法の「使用罪」の検討を始めた背景には、若者を中心に大麻の乱用が広がり、大麻の使用を容認する空気さえ生まれている危うい実態がある。
 大麻の使用経験がある都内の30代のアルバイト男性は取材に「大麻はリラックスのために使う。海外では合法だし、違法薬物という抵抗感はない。有名人もやっているし、ファッション感覚で始める若い10~20代も多いのでは」と悪びれることなく語った。

◆大麻吸引の動画が「ユーチューブ」で多数公開

 インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」上には、大麻吸引の動画が数多く公開されている。緑の乾燥大麻を「グラインダー」と呼ばれる粉砕機で粉々にし、たばこのように紙で巻いて吸う「ジョイント」や、ガラス製の「ボング」という器具を使って「大麻ワックス」の煙を一気に吸い込む動画が並ぶ。
 これらの動画は、嗜好用の大麻の使用が合法化されている米カリフォルニア州やカナダ国内に住んでいる日本人らが投稿したものとみられる。数カ月~2年以内に公開されたものが多く、大麻栽培方法や逮捕されたときの対処法を指南する動画まであった。

「野菜(大麻の隠語)」などのキーワードで出てくる大麻売買が疑われるツイッターの書き込み=一部画像処理

◆SNSでは「野菜」などの隠語で取引

 さらに、ネットの会員制交流サイト(SNS)では、大麻は「野菜」などの隠語で呼ばれ1グラム5000~7000円で取引されており、簡単に入手することができてしまうという。
 2020年の犯罪白書によると、大麻取締法違反の検挙人数は6年連続で増加し、19年は4570人と過去最多を更新。20代が1950人、30代が1068人で全体の半数以上を占める。
 ネット上で大麻の「無害説」が流れていることや、海外の一部で合法化していることが大麻に手を出す心理的ハードルを下げているとみられる。

◆大麻は記憶や知覚の障害を引き起こす

 こうした空気に対し、厚労省は、大麻摂取は記憶障害や知覚の変容を引き起こすと指摘。海外に比べ日本国内は違法薬物の生涯経験率が圧倒的に低く、合法化する国などとは状況が異なると強調する。
 取り締まる側は「使用罪創設」の動きを評価している。この罪ができると、大麻の所持や栽培容疑での捜査で使われてきた尿検査がより効力を発揮するという。捜査関係者は「これまでは尿検査で陽性反応が出るだけでは、大麻を持っていないと立件できないこともあった。取り締まる上でメリットがある」と話す。(佐藤大、奥村圭吾)

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