東海村の研究炉、来月末 再稼働へ 施設老朽化を危ぶむ声も

2021年1月21日 07時20分

住民説明会であいさつする原子力科学研究所の大井川宏之所長=いずれも東海村で

 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は二月末、原子力科学研究所(東海村)の研究炉「JRR−3」を約十年ぶりに再稼働させる計画だ。ただ、老朽施設の再稼働を危ぶむ声もある。県内の原子力施設では今年、大洗町にある高温ガス炉「高温工学試験研究炉(HTTR)」の再稼働や、那珂核融合研究所(那珂市)の新たな大型実験装置「JT−60SA」の本格稼働も控える。 (宮尾幹成)

原科研が再稼働を目指す「JRR−3」

 原子力科学研究所は十四日、JRR−3の住民説明会を東海村で開いた。
 JRR−3は一九六二年に初臨界した国産初の研究炉。核燃料の照射実験や医療用放射性同位体の製造、農産物の産地同定などに活用されてきた。現行の原子炉は「二代目」で、九〇年に初臨界。二〇一〇年を最後に運転していない。一八年十一月に原子力規制委員会の審査に適合した。
 説明会では、地震・津波対策や防災訓練の状況、研究成果や今後の展望が紹介された。ただ、参加者からは「十年以上停止していた原子炉のトラブルが心配だ」「新型コロナウイルス禍で外出自粛が要請されており、説明会に十分な参加の機会がない」などの声が上がった。
 終了後、大井川宏之所長は報道陣に「非常に多方面から運転再開に期待が集まっている。引き続き安全確保最優先に慎重に進めてまいりたい」と語った。
 説明会は、事故に備えた避難計画策定が求められる半径五キロ圏の東海村、ひたちなか市、日立市の住民向け。この日を皮切りに、二十四日までに計七回開催予定だったが、新型コロナ感染拡大に伴う県独自の緊急事態宣言を受け、四〜七回目は中止になった。
 原科研は「改めて説明させていただく機会を検討している」とコメント。再稼働時期への影響はないとしている。
 一方、共産党県委員会の県議や三市村議らは十三日、再稼働中止の要請書を原科研に提出した。
 要請書は、初臨界から三十年経過した原子炉本体などの耐震性や非常時の危機管理体制に懸念がある▽実験の有用性に社会的理解が得られている状況ではない−などと批判している。

◆高温ガス炉7月ごろ予定 核融合新装置は来月中に

那珂核融合研究所が2月の初プラズマ着火を目指すJT−60SAの本体機器=那珂市で

 原子力機構大洗研究所の高温ガス炉の実験炉HTTRは七月ごろ、十一年ぶりの再稼働を予定する。
 高温ガス炉は、核分裂エネルギーを発電だけでなく水素製造などにも併用する新型炉。菅政権が掲げる「二〇五〇年カーボンニュートラル」を踏まえ、経済産業省は昨年末に策定した「グリーン成長戦略」で、水素を「脱炭素」燃料の一つとして重視。高温ガス炉開発にも注力する方針を示した。
 政府が来夏の改定を目指すエネルギー基本計画でも、高温ガス炉開発を国際協力の下で推進する現行計画の方針は堅持される方向だ。原子力機構は、一昨年のポーランドに続き、昨年は英国と共同研究に向けた取り決めを交わしている。
 量子科学技術研究開発機構(量研機構)が運営するJT−60SAは核融合発電の実用化を目指し、セ氏一億度を超える超高温の「プラズマ」で強力な磁場で閉じ込め、水素同士を核融合させる実験に着手する。初のプラズマ着火は二月中を予定している。
 日本と欧州、米国、中国、インドなどが参加する国際熱核融合実験炉(ITER、フランス)計画と並行したプロジェクト。実験の成果は、二五年の初プラズマ着火を目指すITERに反映させる。核融合発電の経済性を検証する原型炉に向けた研究も担う。
 大洗研究所の高速実験炉「常陽」(高速増殖炉の実験炉)は、二二年度中としている再稼働時期が延期される見通し。昨年十一月の政府の「行政事業レビュー」では、使用済み核燃料の保管計画の甘さが指摘され、課題を残した。
 常陽の使用済み核燃料プールは、既に容量の三分の二の核燃料を保管済み。県、大洗町、原子力機構の三者は、保管期間や廃炉決定後の保管に関して何も合意していない。
 レビューでは河野太郎行政改革担当相が、使用済み核燃料の取り扱いがあいまいだったために後始末に巨額の支出が始まっている原子力機構の新型転換炉ふげん(福井県敦賀市、廃炉中)を引き合いに、「使用済み核燃料を最後までどうするかきちんと決めて再稼働しなければ、また無駄な予算がかかる」と問題視した。
 常陽は〇七年五月を最後に運転していないが、原型炉もんじゅ(敦賀市)の廃炉を受け、次段階の実証炉開発に向けた実験や、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減の研究などを担うことになっている。

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