コロナ収入減 児童養護施設出身の学生直撃 バイト先休業など深刻

2021年1月21日 07時33分

タイガーマスク基金に届いた児童養護施設出身の大学生らの手紙

 家族からの経済的援助を受けにくい児童養護施設出身の大学生たちが、新型コロナウイルスの影響でバイトが減るなどし、苦境に立たされている。緊急事態宣言が各地で発令される中、支援団体は危機感を強め、寄付やチャリティー販売への協力を呼び掛けている。 (細川暁子)
 「バイトのシフトと収入が減ったので、食事の品数を少なくして節約している」。愛知県内の大学四年生の女性(22)は打ち明ける。
 女性は小学三年生から高校三年生まで、名古屋市の児童養護施設「名古屋若松寮」で暮らした。高校時代にバイトで約五十万円をため、大学に進学。入学後はコンビニで週五日、夜から早朝までバイトをしてきたが、コロナ禍で生活が苦しくなった他の大学生らが以前より多くシフトに入りたがるようになり、勤務日が週四日に減ったという。

「コロナの影響でバイトが見つからない」と話す滝沢ジェロムさん=愛知県内で

 日本福祉大(愛知県美浜町)三年の滝沢ジェロムさん(21)も「コロナの影響でイベントなどが減っているので、バイトがなかなか見つからない」と顔を曇らせる。
 滝沢さんは、フィリピン人の母親が不法滞在中に日本で生まれ、小学四年生から高校三年生まで県内の児童養護施設で過ごした。高校卒業後、施設を出て一人暮らしを始めたが、無国籍で在留資格もない状態だったためバイトはできず、支援団体の給付金などを活用して進学。昨年ようやく在留特別許可が下り、三カ月前から日本学生支援機構の給付型奨学金、月約七万五千円を受けられるようになった。それでも生活は苦しく、水道代節約のため風呂の湯はためずにシャワーだけで済ませている。「施設出身者は複雑な家庭の事情を抱え、家族の経済的援助は頼れない人が多い。大学もオンライン授業で他の学生との交流もないため孤立しがち」と話す。
 児童養護施設出身の大学生らを支援しているNPO法人タイガーマスク基金(東京)には、「バイト先が休業になり収入がなくなった」など、大学生らの切実な声が寄せられている。事務局長の工藤ルリ子さん(54)は「各地で緊急事態宣言が再発令されて飲食店などの営業時間が短くなり、バイトが減った大学生たちがさらに苦境に立たされるのでは」と心配する。
 同基金は二〇一二年から個人や企業などから集めた寄付金を基に、一人につき在学中の四年間で三十万円を給付している。二〇年度は一人につき三万円の「コロナ対策支援金」を加え、百四十二人に千二百五十五万円を贈った。
 数年前から高知県内のNPO法人など三団体の協力を得て、果物や魚の加工品などの売り上げの一部を給付金に充てるチャリティー販売も行っている。ポンカンやトマトソースなどの詰め合わせ、ウルメイワシのオイルサーディンなどのセットが、同基金のホームページから購入できる。企画した同基金理事の中村久美さん(61)は「おいしい産直商品を買って施設出身の大学生たちを応援してほしい」と話す。

関連キーワード

PR情報

ライフスタイルの新着

記事一覧