「積み上げられた証拠を無視。ありえない」 国の責任を否定した東京高裁判決に怒り 福島・生業訴訟の中島原告団長

2021年1月21日 19時47分
 東京電力福島第一原発事故の被災者による集団訴訟は、全国で約30件続いている。福島県や隣接県で被災した約3650人の集団訴訟(生業訴訟)で原告団長を務める中島孝さん(65)=福島県相馬市=は21日、国の責任を否定した東京高裁の判決に「これまでに積み上げられた証拠を無視した。ありえない」と憤慨した。(片山夏子)

2020年10月13日、「国や東電に上告せず早期救済を求めてきたが上告し、自ら果たすべき責任を先送りにした」と記者会見で憤る中島孝原告団長(中央)=福島市内で(片山夏子撮影)

◆20年9月の仙台高裁 国の責任を全面的に認める

 中島さんらの訴訟では2020年9月30日、仙台高裁(上田哲裁判長)が国の責任を全面的に認める判決を出した。東京高裁判決では一審の前橋地裁が国の責任を認めただけに、それが維持されるかが最大の焦点だった。
 中島さんは「仙台高裁では、東電幹部に対する刑事裁判や同様の民事訴訟も踏まえ、津波は予見でき、規制権限を持つ国が役割を果たさなかったと断罪、国の権限不行使は違法だと認定した」と解説。続けて「それなのに今回、津波の予見性や水密化などの対策による事故回避の可能性をも否定し、何もしなかった国の責任を否定。同様の裁判で積み上げられた証拠を完全に無視した判決だ」と怒りを込めた。
 原子炉等規制法など三つの法律により、国は原子力災害防止の観点から安全規制をすべきだと指摘。「長期評価に基づき、対策をしていれば原発事故は防げた。国の責任を認めなかったことで、再び原発事故が起こる可能性を高めた」と語気を荒らげた。

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