案里議員 有罪判決に「大変遺憾」 左胸に議員バッジ、主文言い渡しに頭下げる

2021年1月21日 21時12分
河井案里参院議員(2020年1月)

河井案里参院議員(2020年1月)

 国会議員夫妻が罪に問われた前代未聞の事件で、無罪を主張していた参院議員河井案里被告(47)に東京地裁が示した判断は有罪だった。「自らへの応援を期待した選挙買収だ」。厳しい文言が並ぶ判決を案里議員はうつむきながら聞いていた。(山田雄之)
 「被告人を懲役1年4月とする。5年間その刑の執行を猶予する」。21日午後3時すぎ、裁判長が判決主文を告げると、黒色のパンツスーツ姿で証言台の前に立っていた案里議員は、うなずくように軽く頭を下げた。左胸には議員バッジを着けていた。
 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件。公判の最大の争点だった地元議員らへの現金の趣旨について、案里議員は最終意見陳述で「恩義のある先生方への感謝の念を、陣中見舞いや当選祝いという形で示した。買収はお札で相手の頬を張り飛ばすような下品なこと。私を信じてほしい」と訴えていた。
 地裁は判決に当たり、選挙の情勢、現金提供相手の地元議員との関係、金額などを検討した。起訴内容の県議4人は、案里議員が県議だった時代の先輩や後輩で「支援を期待しやすい関係だった」と指摘。渡した30万~50万円の金額も「選挙運動の報酬として見合う額」とし、「陣中見舞いや当選祝いなど名目はいずれでも構わないといった態度が認められる」「買収目的は明らか」と断じた。
 判決を含め計30回に及んだ公判で、案里議員はさまざまな表情を見せた。現金を受け取ったとされる広島県議の1人が、「案里議員から口裏合わせの電話があった」として当時の状況を説明している際、「うふふ」と笑いだし、弁護人からたしなめられた。
 被告人質問では、夫で元法相の克行被告(57)との逮捕前のやりとりを弁護人に問われ、「『あんたは知らない方がいい』と言われ、間違ったお金なんじゃないかと思った」と涙を流しながら説明。一方、検察官の質問には淡々と「記憶にない」と繰り返した。
 この日、案里議員は判決理由が読み上げられた約1時間、目尻を触ったり、うつむいたりしながら聞いていた。閉廷後、「主張の一部しか受け入れられておらず、その点は大変遺憾だ。判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメント文を出したが、記者会見などで自ら直接説明することはなかった。

◆1億5000万円が買収の原資?不明のまま

 東京地裁は参院議員河井案里被告について、「民主主義の根幹である選挙の公正を害した」と断じ、有罪判決に導いた。国会議員になる手段として、地元の有力者らに現金をばらまいて票集めを依頼していたとすれば許されない。
 案里議員の擁立は自民党本部が主導し、当時官房長官だった菅義偉首相も複数回応援に入った。その背景には、別の現職議員を推していた党広島県連の反発があり、判決も「案里議員にとって厳しい選挙情勢だった」として買収事件の一因と認定している。
 判決が一切触れなかったのが、党本部が参院選前に河井夫妻側に提供していた1億5000万円の存在だ。買収資金の原資になったのではないか―。そんな疑念が公判で解明されることはなく、案里議員も原資は「たんす預金」と説明するだけ。検察側の追及もなかった。
 案里議員は公判で、「お金の管理は主人」とし、破格の資金援助を知らなかったと述べた。夫で元法相の克行被告の公判でどこまで解明されるのか。今後も注目したい。(山田雄之)

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