<子どものあした>ボートレーサーが子育て応援 前田選手らTシャツ製作・販売 収益を寄付、子ども食堂運営などに

2021年1月22日 07時28分

オリジナルTシャツの収益を寄付している前田選手(戸田競艇企業団提供)=いずれも戸田市で

 新型コロナウイルス禍で生活に苦しむ子育て家庭を支えるため、ボートレース界が立ち上がった。戸田競艇場(戸田市)を本拠とするレーサー前田紗希選手(27)=さいたま市=が「TUGBOAT PROJECT」(タグボート・プロジェクト)と名付け、仲間とともにオリジナルTシャツを製作。子ども食堂の運営などに役立ててほしいと、収益を子ども支援団体に届けている。 (近藤統義)
 前田選手は埼玉支部に所属し、二〇一四年にデビュー。初勝利までは二年近くかかったが、同じレーサーの父光昭さん(52)との親子対決でも観客を沸かせる人気選手の一人だ。
 その活躍の舞台は新型コロナの感染拡大で、昨春から一時期は無観客での開催を強いられた。「お客さんがいないと練習みたいで緊張感が薄れた」と苦笑しつつ、「仕事を失ったわけではなく、競技を続けていられる立場は恵まれている」と感じながら日々を過ごしてきたという。
 何か自分にできることはないか−。そう自問し、コロナ禍前から社会貢献の活動に取り組んできた先輩レーサーたちの存在にも刺激を受けた。大型船をけん引する小さなタグボートをイメージし、「小さな力でも大きなエネルギーを発信したい」と昨年九月にプロジェクトを始動させた。
 支援の対象を子育て家庭にしたのは、子ども好きが理由だけではない。子ども食堂が各地に広がるのを知り、「満足にご飯が食べられない子がいるのが信じられなかった。不自由なく生きてきた自分が、今度は誰かを支える番」との思いを強くしたからでもある。
 プロジェクトでは埼玉支部や東京支部などのレーサーに協力を呼びかけ、前田選手を含む六人が思い思いのメッセージや絵柄をTシャツにデザイン。昨年九月と十二月に公式サイトで受注販売した。九月は百三十枚を売り上げ、その収益金約八万円を戸田市社会福祉協議会に寄付した。
 第三弾の新作の販売は三月ごろの予定だが、前田選手は「その先」の活動も見据えている。大人のギャンブル場と見られている競艇場で、自ら子ども食堂を開くことだ。「親子で集える居場所をつくり、幼いころからボートレーサーという職業に親しんでほしい」。競技の裾野を広げるきっかけにもなればと願っている。

レースで水上を疾走する前田選手。「ファンがTシャツを着て応援してくれるのがうれしい」=戸田競艇場で(本人提供)


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