<ふくしまの10年・イチエフあの時 続く苦闘編>(14)汚染水垂れ流し 放置

2021年1月22日 07時27分

海への汚染水漏れが続いていた排水溝=中央の格子状の部分

 東京電力福島第一原発(イチエフ)には雨水などを排水する溝が何本もある。二〇一五年二月「K排水路」と呼ばれる1〜4号機近くの溝から、汚染水が外洋に直接漏れ続けていたことが判明した。
 建屋の屋根にたまった放射性物質が雨水で流され、溝に入り込んだとみられるが、基準値を大幅に上回る放射性物質が海に流れだしていた。
 東電はその一年近くも前に漏出の事実を把握しながら、公表せず、対策も取っていなかった。
 原子力規制委員会の対応も問題だった。東電からの報告を受け、「排水路出口を(浄化対策がしやすい)港湾内につけかえてはどうか」などの指摘はしたものの、なかなか手を打たない東電を指導していなかった。
 排水路からの汚染水は海を汚し続けたが、規制委の田中俊一委員長(当時)は、「雨水はコントロールできない。放置はしておらず、責任問題は全くない」と記者会見で答えた。
 この問題を本紙が大々的に報じ、国会でも取り上げられると、にわかに事態が動きだした。規制委と東電の会合で対策が協議され、主な汚染源の建屋屋根を掃除し、排水路内には放射性物質の吸着材を設置、出口は港湾内につけかえることが決まった。翌一六年三月に工事が完了し、ようやく問題は決着した。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧