原発避難訴訟 国の責任一転否定 「苦しみ 国は分かっているか」自主避難の丹治さん落胆

2021年1月22日 07時46分

会見中の涙に目をハンカチで押さえる丹治さん=東京都千代田区で

 二十一日に東京高裁で言い渡された東京電力福島第一原発事故に伴う群馬県への避難者らによる集団訴訟判決。判決を受け、原告や弁護団は同日、東京都千代田区の日比谷コンベンションホールで記者会見した。国や東電の過失責任を認めた一審の前橋地裁判決から一転し、国の責任を認めない高裁判決に、原告や弁護士からは落胆や悔しさをにじませる声が相次いだ。原告弁護団は上告を検討する方針を示した。 (市川勘太郎)
 東京高裁の一〇一号法廷。足立哲裁判長から「控訴棄却」などの言葉が次々と出てくると、傍聴席ではため息をつく人もいた。
 「まさかこんな判決になるとは思ってもいなかった。この十年間、原発のことを考えない日はなかった。原告の苦しみを国は分かっているのか」
 前橋市在住の原告、丹治杉江さん(64)は記者会見でこう言葉を絞り出した。伊勢崎市出身の丹治さんは、結婚後に福島県いわき市で暮らしていたが、原発事故を受けて二〇一一年七月に夫とともに前橋市へ自主避難した。
 丹治さんは「もう二度といわきの家には帰れない。国の原発推進政策に寄った判断を司法がしたとしか言いようがない。こんな不正義な判決は許すわけにはいかない」と強調した。
 弁護団長の鈴木克昌弁護士は「損害賠償は上積みがあり評価するが、国の責任や東京電力の落ち度について甘い見方をしている。このような認定は原発施設がいいかげんな設計でも仕方ないと言っているに等しい。容認できず、不当な判決だ」と厳しく非難。弁護団事務局長の関夕三郎弁護士は「裁判は法律と証拠で真偽を明らかにするが、証拠を無視され、がくぜんとした。闘志を新たにし、次に挑戦したい」と述べた。

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