ロックダウン続くベルリンに「三方よし」のビアホール 行き場を失ったホームレスの居場所に

2021年1月22日 17時00分

ホフブロイ・ベルリンの2階に設けられた食事や飲み物を提供するカウンター。この日のメイン料理は牛肉のシチュー、デザートも用意されていた

 新型コロナウイルス対策の都市封鎖(ロックダウン)が続くドイツで、ベルリン最大規模のビアホールがNPOと協力し、行き場を失ったホームレスの支援に乗り出した。困窮する人々だけでなく、店内営業ができない店側や活動に支障が出ていたNPOにとって「三方よし」の取り組みになっている。 (ベルリン・近藤晶、写真も)
 「冬場に外で過ごすのは2日が限界。こうした場所が本当に必要だった。スタッフは私たちの状況を親身に聞いてくれて、とても感謝している」。小雪が舞う中、訪ねたビアホール「ホフブロイ・ベルリン」。ニット帽をかぶった女性のイナさん(29)は安堵あんどした様子で話した。連邦軍に勤務していたこともあるが、近しい人が亡くなるなどトラウマ(心的外傷)を抱え、1年ほど前から居場所のない生活を送っているという。

閉鎖されているホフブロイ・ベルリンの1階。ロックダウン解除後は1階を一般客に開放する予定という

 店の2階では、長さ3メートルほどの大きなテーブルが間隔を空けて置かれ、50~60人がくつろいでいた。平日午前10時から午後4時まで、コックが作る温かい食事が提供される。NPOスタッフが常駐し、住居や仕事などの相談にドイツ語だけでなく、英語やポーランド語など多言語で対応。PCR検査の手配に加え、独赤十字の協力で簡易な医療サービスも提供する。
 支援活動のきっかけは、地元のNPO「GEBEWO」が運営するホームレス一時避難施設でボランティアをしていたホフブロイ従業員の提案。ベルリン市が事業費を負担し、昨年12月15日から始まった。
 市によると、今月初めに市内で確認されたホームレスは少なくとも2000人。ロックダウンで大半の店舗が閉鎖され、ショッピングモールや公共施設など暖を取れる場所がなくなった。NPOも、感染の懸念から狭い施設では従来の活動ができなくなっていた。
 2階建てのホフブロイは最大3000人を収容可能。NPOのケアマネジャー、スベーニャ・ケテルセンさん(36)は「感染防止に十分な広さがあり、本来の活動ができる」と喜ぶ。同時に最大80人まで受け入れ、多い時は1日計200人が利用したこともある。

支援活動の提案を聞き、「やりがいがあると思った」と語るホフブロイ・ベルリンの支配人、ビョルン・シュワルツさん

 一方、ホフブロイは春のロックダウンで従業員の一部を解雇せざるを得なかった。今も店内営業ができず、持ち帰りと宅配だけ。全従業員が時短勤務を余儀なくされていたが、支援活動を始めて10人がフルタイムに復帰できた。ビョルン・シュワルツ支配人(48)は「普段のお客さんとは違う人たちに喜んでもらえ、従業員が得るものも大きい」と手応えを感じている。
 ベルリン市統合労働社会局の担当者は「今回の取り組みは、それぞれにメリットがあるものになった」と強調する。支援活動は4月末まで続けられる予定だ。

PR情報

国際の新着

記事一覧