東京五輪「中止論」広まる、コロナの収束見えず 無観客ならチケット代900億円がパーに

2021年1月22日 18時59分
 東京五輪は23日、開幕まで半年の節目を迎えた。国内でも海外でも新型コロナウイルスの感染収束は見通せず、中止論が広がっている。無観客開催や再延期などさまざまなシナリオが語られるが、3月には予選が本格化し聖火リレーも始まる予定で、決断の期限は迫る。(原田遼)

◆無観客を否定してきた組織委が一転…

 「観客がいるのが望ましいが、観客なしで開けないわけではない。あらゆる選択肢を考える」。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は21日、記者団にそうつぶやいた。
 無観客開催は、組織委がこれまで一貫して否定してきた。感染症対策を大幅に軽減できる一方、チケット収入(900億円)がゼロになり、観客の宿泊や飲食など経済効果が見込めない。
 しかし、今月の共同通信の世論調査で、約8割が今夏開催に反対する事態となり、ある組織委幹部は「『無観客なら減収になる』などと言ってられない」。中止という最悪の事態を回避するため、無観客に言及せざるを得なくなったとの見方が強い。
 政府は観客制限の判断を「春」まで先送りし、「国内のイベント上限に準じる」と基準を示している。現在、スポーツイベントの観客は「(1)収容人数の50%以下(2)5000人以下―の少ない方」。この基準通りだと、約7万人収容の国立競技場に5000人しか入れないことになる。

◆海外から相次ぐ「開催悲観論」

 国内では11都府県に緊急事態宣言が出され、全世界からの外国人の入国を原則禁止している。宣言の期限は来月7日だが、西村康稔経済再生担当相は都内の解除について「一日の新規感染者が500人を下回った場合」と目安を示しており、延長される可能性もある。
 国際オリンピック委員会(IOC)によると、昨年春時点で出場選手の枠の43%が未確定。世界的な感染収束が見込めない中、予選が中止になった場合は過去の実績で代表を選ぶ方法もあるが、選手の反発も予想される。
 海外メディアや海外のIOC関係者からは開催悲観論が相次いでいる。昨年の延期決定時は、3月22日にカナダのオリンピック委員会が東京大会への不参加を表明し、2日後に延期が決まった。
 同様に今回ボイコットする国が出てくれば、IOCと組織委は追い込まれる。昨年まで組織委に出向していた元幹部は「米英仏など主要国が派遣できなければ、IOCは中止を決断するだろう」と推測する。

◆延期なら晴海フラッグはどうなる?

選手村として活用後、マンションとして供給される予定の「晴海フラッグ」

 日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は今月20日、「2024年を目指しIOCと交渉すべきだ」と再延期を提案した。
 しかし24年はパリ、28年はロサンゼルスの開催が決まっている。さらに選手村は来年1月、分譲マンションとして民間事業者に引き渡す契約で、武藤事務総長は「延期は現実的でない」と否定している。
 開催か中止か、それとも再延期か―。判断時期について、自民党の下村博文政調会長は今月18日、BS日テレ番組で「3月下旬くらいが1つの目安」と発言した。それまでに、感染をどの程度抑え込めるかが鍵になりそうだ。

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