コロナのしわ寄せか、目立つ女性の自殺 2020年は増加に転じる

2021年1月22日 20時27分
 2020年の自殺者が2万919人に上ったことが22日、警察庁の自殺統計(速報値)で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で、19年の確定値から750人増加(対前年比3・7%増)。女性は増加に転じ、過去5年で最多となった。

◆目立つ女性からの相談「ダメな母親」

「自分が生きているせいでみんなに迷惑をかけていると思うと消えたくなる」(女子高生)「子どもたちが不登校に。ダメな母親」(30代女性)
 NPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」には自殺を考えた人からの悲痛な相談も少なくない。全相談の7~8割は女性で、コロナ禍で仕事を失った人など経済的な苦しさを訴える声も目立つという。
 野村総合研究所が昨年12月、パート・アルバイト女性約5万6000人にインターネットで実施した調査では、10・4%が「新型コロナの影響でシフトが5割以上減った」と回答。そのうち74・1%が「休業手当の支給がない」と答えた。この割合から推計すると、全国で約90万人の女性が同じ状況下にあるという。
 雇い主から休業手当が出ない場合、労働者に直接、お金を給付する国の制度もある。だが調査では、手当や給付がパート・アルバイトにも適用されることを「知らない」とする回答が半数を超えた。

◆「著名人の自殺も影響」

 NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「新型コロナによる影響のしわ寄せが社会的に弱い立場の女性や若者に行ったのでは」と指摘。女性は非正規雇用が多く「雇い止めや失業、介護や育児の孤立化、DV(ドメスティックバイオレンス)被害の悪化を抱える中、著名人の自殺も影響した」とみる。
 自殺者数は男性が女性の約2倍と多いが、国際比較では日本人女性の自殺死亡率は世界4位で、男性の15位よりも高い。先進7カ国で若者の死因第1位が自殺なのも日本だけという。
 清水氏は、今後の対策について「自殺は失業や生活苦をきっかけに、借金や家族間の不和といった悩みが連鎖し起きることが多い」とし、生活保護制度の要件を緩和するなど「生存支援」の重要性を強調。自殺に追い込まれる人が自ら適切な支援策を探すのは困難といい、「自殺防止の相談の受け皿を増やすとともに、年齢や性別、属性を踏まえて行政側から支援情報を伝える『プッシュ型』の支援策が必要だ」としている。(奥野斐、梅野光春)

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