コロナの担当医師「治療が遅れ、重症化が増えている」 病床ひっ迫の神奈川、自宅・宿泊療養者4300人に

2021年1月23日 11時10分

ウイルスが外に漏れないように排気ダクトを付けた病室(2020年6月撮影、足柄上病院提供)

 新型コロナウイルスに感染しても入院せず自宅や宿泊施設で療養する人が増えている。神奈川県の重点医療機関として中等症患者の治療に当たる県立足柄上病院(松田町)では、症状が悪化してから搬送される人が増えたといい、岩渕敬介・総合診療科医長は「悪化してから治療を始めると重症化の危険性が上がる。このままでは必要な医療を受けられず亡くなる人が増える」と危機感を語る。 (石原真樹)
 県によると、自宅や宿泊施設での療養者は二十一日時点で四千三百二十人で、昨年十二月一日時点の五倍に増えた。感染者そのものが増えているのに加え、県が同月に基礎疾患や年齢などをスコア化して入院優先度を判定する仕組みを導入し、持病があっても若い人や無症状の人らは比較的リスクが低いとして、入院しないで自宅や宿泊施設で療養することになった。
 岩渕医師は、昨年十、十一月は陽性判明すれば「念のため」入院していたと振り返る。しかし最近は、陽性判明しても入院せず、自宅で療養中に容体が悪化して搬送されてくる人が増えたという。「治療の導入が遅れ、重症化しやすくなり、回復までに時間がかかるようになった」と指摘する。

オンライン取材に応じる足柄上病院の岩渕敬介医師=いずれも松田町で

 容体悪化の一因として、状態悪化の目安となる血中酸素飽和度が下がっても「あまり苦しくない」と自覚症状がないケースがあることを挙げる。動かなければそれほど苦しくないため「気付いたときには動けない、となってしまう」。単身の高齢者が一人で自宅にいるのは特に危険という。
 高齢者施設での集団感染もあって治療が長引きやすい高齢の患者が増えており、ベッドが空かず次の患者を受け入れられない悪循環に陥りつつある。病床は年明けからほぼ満床が続き、感染者の入院先を調整する県から受け入れを求められても断る回数が増えているという。
 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの感染者受け入れからコロナと向き合ってきた岩渕医師。今月十日、三十件近く搬送を断られたコロナ患者を午前三時に受け入れたときに「通常ではあり得ない、これは異常事態」と感じたという。「今は通常の医療の状態でないことを知ってほしい」と呼び掛ける。

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