案里議員に有罪 選挙の公正破る罪深さ

2021年1月23日 07時50分
 参院議員の河井案里被告に有罪判決が出た。一昨年夏の参院選での買収事件。確定すれば議員失職だ。選挙の公正を踏みにじった代償は大きいし、金権選挙がまかり通る政治に失望せざるを得ない。
 「民主主義の根幹を害した」と東京地裁は断罪した。案里被告には懲役一年四月、執行猶予五年の有罪判決だった。激戦の広島で地元議員らを買収した行為は、選挙の公正さに対する国民の信頼を失墜させたといえる。重く受け止めるべきである。
 もっとも案里被告自身は買収の意図を否定し、無罪主張だった。確かに統一地方選があった年で、以前から陣中見舞いや当選祝いの慣行はあったかもしれない。案里被告も初公判で「自民党の党勢拡大のための政治活動や、選挙運動の準備行為を行っていただけ」と主張していた。
 選挙活動か、政治活動か−。それが最大の争点でもあった。一昨年三月から五月にかけての現金の供与は、政治家が行う地盤培養の政治活動と区別がつきにくい側面もあったろう。
 だが、現金を受け取った広島県議らが法廷に立ち、「票とりまとめの趣旨だった」などと証言をした事実は重かった。県議の一人に「なかったことでいいよね」と口裏合わせの電話をした事実も法廷で暴かれている。
 秘書は昨年十一月に懲役刑が確定し、連座制の適用を求めて高裁に提訴されている。案里被告自身の有罪確定でも議員の座は失職する。その可能性はいよいよ高くなったといえよう。
 裁判が続く夫の河井克行被告は計百人に計約二千九百万円、案里被告は共謀し、この一部を担ったと起訴された。投票を前に選挙区内でカネが飛び交ったのは事実だ。カネまみれだと国民から非難されて当然である。
 背景事情にももっと注目すべきである。自民党からは一億五千万円もの巨額資金が流れたとされたが、買収の原資は不明のままだ。
 かつ現職候補がいるのに、同じ選挙区で案里被告を擁立したのは自民党本部である。
 自民同士が票を奪い合う激戦の構図になった。当初は案里被告の情勢が厳しかったゆえに買収に至る一因となった。そう判決でも認定された。
 選挙の公正を乱した者は誰か−。大きな視座に立てば、党幹部らの道義的・政治的な責任はもっと追及されるべきである。政治家は襟を正さねばならない。

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