<ふくしまの10年・イチエフあの時 続く苦闘編>(15)想像絶するタンク解体

2021年1月23日 07時46分

水漏れリスクの高いボルト締め型タンクを解体する作業員=東京電力提供

 二〇一三年八月、大量の汚染水漏れ事故を受け、東京電力福島第一原発(イチエフ)のボルト締め型タンクは、信頼性の高い溶接型に置き換えられることになった。
 ただし溶接型を一基造るには二カ月前後かかる。現場では、ボルト締め型の弱点である底に止水材を塗った鋼材をかぶせて延命させてタンク容量を確保。溶接型の完成に合わせて順次、汚染水を抜いて解体するしかなかった。
 作業員に解体の様子を聞くと想像を絶する作業だった。
 取り外すボルトは一基当たり千個以上。底は接ぎ目が多いため、汚染水を最後までポンプで吸いとることはできず、水かき器でさびや不純物を集めながら、ホースで吸引する手作業。タンク内部は高濃度汚染されているため、防護服を二重に着て、ゴムの全身スーツ、厚手のかっぱを二重の計五重の重装備。もちろん全面マスクも着用する。
 この作業の時にはまだ天板が付いているので、点検孔から差し込むわずかな光と、持ち込んだライトだけが頼り。「雨や曇りの日は暗くて参る。底は汚染がひどくて転ぶと危ないが、ぬめりがあって滑る」と作業員。別の作業員は「体を守るためとはいえ、装備がきつすぎる。動くだけで大変だし、暑くてかなわない。人海戦術で二十分ほどで交代するが、それが限界」と話した。 =おわり
 (片山夏子、山川剛史が担当しました)
◇新シリーズを26日から始めます。ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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