緊急宣言前の休業命令 憲法22条に抵触の恐れ<新型コロナ法改正ここが論点①>

2021年1月24日 06時00分
 新型コロナウイルス対策の特別措置法改正案で、感染拡大を未然に防ぐためとして創設されるのが「まん延防止等重点措置」だ。緊急事態を宣言していない地域でも、都道府県知事に事業者らへの休業や営業時間短縮の命令などを認め、違反した場合には30万円以下の過料(刑事罰とは違って前科にならない行政罰)の罰則も導入する。

◆「営業の自由」を過度に制約

 現行の特措法は緊急事態という「有事」に限って国民の権利を制限し、それ以外は国民らに協力を求めることを基本とする。これまで緊急事態宣言がなくても「お願い」として、飲食店などに半ば強制的な要請をしていた問題点が指摘されていた。この措置の新設で、有事でなくても国民の権利を制限できるようにする。
 緊急事態宣言前に休業や営業時間の短縮を命じることは、憲法22条の「職業選択の自由」に含まれる「営業の自由」を過度に制約することになりかねないとの懸念がある。慶応大の横大道聡教授(憲法)は「必要以上に広範な権限を知事に与える恐れがあり、憲法上問題だ」と話す。
 また、どんな状況なら宣言の前段階に位置付けられるのかは曖昧だ。政府は「新規陽性者数などを踏まえた感染拡大や、医療提供に支障が生じる恐れ」(坂井学官房副長官)を基に認定するとの説明にとどまる。

◆国会への事前報告必要なし

 要件は閣議決定による政令で定め、実施を判断するのも政府対策本部長(首相)とされ、内閣の裁量が大きい。緊急事態宣言では義務付けられる国会への事前報告も「私権制限はかなり少ない」(菅義偉首相)として盛り込まれず、国民を代表する立法府のチェックを受ける仕組みもない。
 政府・与党はこの措置の撤回には応じない構えで、与野党の修正協議では過料の導入の是非などが議論される見通し。(川田篤志)
 政府が2月上旬に成立を目指す新型コロナウイルス対策の関連法改正案の主な論点を掘り下げます。

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