三浦半島の在来品種 たのくろ豆の豆腐づくり 逗子の老舗、相模原で栽培から

2021年1月24日 07時22分

「個性的な豆腐を作っていきたい」と意気込む亀田さん=逗子市で

 逗子市の老舗豆腐店「とちぎや」の3代目亀田勝さん(60)が、三浦半島に伝わる在来品種の大豆「葉山たのくろ豆」を使った豆腐作りに取り組んでいる。相模原市内の畑を借りて、自ら大豆の栽培に乗り出す力の入れよう。昨年12月に試作したところ風味の強い個性的な豆腐に仕上がり、「店の看板メニューにして、在来の大豆を受け継いでいきたい」と力強く語る。 (石原真樹)
 たのくろ豆(田畦豆)は、田んぼのあぜを補強するために植えられたことに由来する地大豆で、市場には流通せず地元の直売所などで売られている。亀田さんは2005年に店を継ぎ、地産地消や食の安全に力を入れる中で「地域に伝わる固有の豆で豆腐を作りたい」との思いを強めていったという。
 農家が自家使用する程度しか栽培しておらず少量しか手に入らないため、地元の小学校でのみそ作りに使うのが精いっぱいだったが、18年、長年付き合いのある相模原市の農家石井好一さん(72)から「畑を借りればいい、とひらめいた」。19年に初挑戦のはずが豆をまく前にトラクターが壊れて断念し、20年6月、約100平方メートルの畑に、葉山の農家から分けてもらった種豆900グラムをまいた。
 慣れない畑仕事に「土の中を歩くのもおぼつかない」状態だった亀田さん。人生で初めて耕運機を動かし、土寄せして雑草を防ぎ、除草剤は一切使わなかった。8月には白とムラサキの小さな花が咲き、11月、淡いエメラルドグリーンの大豆を30キロ収穫した。
 12月、「失敗は許されない」緊張感の中で作った豆腐は、ほのかに緑がかり、青臭さとは異なる風味があった。豆腐マイスターなどを招いた試食会では「これだけ風味があるお豆腐はなかなかない」「なめらかでスイーツみたい」などと絶賛された。
 収穫した大豆のうち豆腐や種豆として使えそうなのは20キロで、うち10キロを今年の種豆に回す。5キロは相模原で栽培する予定で、残る5キロはまだ畑を探している状況だ。それでも「街の小さな豆腐店だからこそ、ここでしか食べられない豆腐を作りたい」と亀田さんの声は明るい。
 葉山たのくろ豆の豆腐は、ほかの豆腐などとのセット(1700円、3000円)で2月1日販売。クール便での配送も可。問い合わせはとちぎや=電046(873)1112=へ。 

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