トウモロコシのでんぷんや卵の殻…代替素材でプラごみ減らそう<都の企業とSDGs>

2021年1月25日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大で飲食の持ち帰りが定着し、プラスチックごみが増えている。地球温暖化や海洋汚染につながるプラごみを減らすことは、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に欠かせない。みやこの企業(首都圏の中小企業)でも、プラスチックに代わる環境負荷の少ない素材が生み出されている。(畑間香織)

古紙と植物を原料とするプラスチックの代替素材「パプラス」(左)から作られた化粧品容器(中)とカップ

◆土に埋めれば水と二酸化炭素に

 持つと硬く、ツルツルとした肌触りのコップや化粧品容器。質感はプラスチックと変わらないが、素材はトウモロコシのでんぷんからできた合成樹脂「ポリ乳酸」と、牛乳パックなどの紙からできている。土に埋めれば微生物が分解し、3~5年で水と二酸化炭素(CO2)になる。「パプラス」と呼ばれるプラスチックの代替素材だ。

プラスチックの代替素材「パプラス」について説明するカミーノの深沢幸一郎社長=東京都港区で

◆プラ製包装の過剰さ「解決したい」

 東京都港区の「カミーノ」が2019年に開発した。深沢幸一郎社長(51)が、来日した外国人の友人に日本商品のプラ製包装の過剰さを指摘され「解決したい」と考えたのがきっかけ。
 昨夏には、化粧品会社が記念品用のコップに採用した。古くなったパプラスの製品は回収し、新しいパプラスを加えて再び製品化する循環の仕組みを目指す。
 深沢社長は、「企業は再利用でき、長く使える商品の開発に力を注ぎ、消費者は使い捨ての習慣を見直す必要がある」と訴える。

◆コロナ禍の巣ごもりで家庭のプラごみ増加

 プラごみ削減を巡っては、昨年7月にレジ袋が有料化された。だがコロナ禍で「巣ごもり消費」が定着し、家庭のプラごみは逆に増えている。日本容器包装リサイクル協会によると、1100の自治体が家庭のプラごみを分別し、リサイクル業者に引き渡した量は昨年4~12月が前年同期比4.6%増の約51万トン。過去5年間で最多だった。
 東京23区では、新宿や中野、杉並などで資源として回収するプラごみが、昨年4~6月に前年同期の約1割増えた。中野区の担当者は「緊急事態宣言で自宅で過ごす時間が増えたため」と話す。宣言が再発令された今、さらに増える懸念がある。

◆産廃だった卵の殻を有効活用

 ごみでしかなかった卵の殻に光を当てプラごみの削減に取り組むのが、食品製造販売の「サムライトレーディング」(埼玉県桶川市)。桜井裕也社長(51)が父親と経営していた食品会社で大量に出る卵の殻は、産業廃棄物として焼却していた。「有効活用したい」と研究を重ね、18年から卵の殻を60%配合したバイオプラスチック「プラシェル」を販売する。

卵の殻が原料のPLASHELL(プラシェル)を作るサムライトレーディングの桜井裕也社長

 また、SDGsを啓発する団体「エコ玉プロジェクト」を設立し、約50社が賛同。有志がフィリピンの海岸にマングローブを植林している。
 桜井社長は「環境問題に取り組む土壌をつくるのも僕たちの役目。みんなでやれば解決できる」と話す。
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 国連のSDGsの実現に向けては中小企業の参加もカギとなる。取り組みの現場を随時、紹介する。

プラスチックごみ 石油由来のため分解されず自然界に残る。海に漂着したプラごみから化学物質が溶け出したり、海洋生物が取り込んだりして影響が出る。プラごみを焼却処理すれば、温室効果ガスを排出する。東京23区では12の区がプラスチック製の容器包装類を資源回収し、それ以外の区は原則、焼却する。

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