「全集中の呼吸」はどこへ? 首相答弁は棒読み、淡々、抑揚なし 

2021年1月26日 06時00分
 菅義偉首相は25日の衆院予算委員会で、昨年11月25日以来となる野党との1問1答形式の論戦に臨んだ。この2カ月の間に、新型コロナの感染が爆発的に拡大。政府の対応には「後手」との批判が付きまとっており、首相にとっては自らの言葉で国民に説明し、理解と協力を呼びかける機会でもあったが、自身の会食問題などを追及されて防戦を強いられる場面も目立った。官房長官時代に「鉄壁」と評された答弁スタイルに対しては、与党からも淡泊で国民に届かないとの評価が漏れ、この日も迫力を欠いた。(村上一樹、井上峻輔)

◆野党との1対1論戦にも必死さなし

 「『全集中の呼吸で答弁』という言葉は一体、どこに行ったのか」
 立憲民主党の江田憲司氏は、昨年11月の臨時国会で首相が人気漫画「鬼滅きめつやいば」の主人公のせりふを引用し、論戦への決意を示したことに触れて質問。「全くそうなっていない。メモの棒読み、紋切り型答弁だ」と指摘した。
 首相は、これまで多用してきた「ご指摘は当たらない」「答弁は控える」といった言葉を避けつつも、江田氏の指摘には「私なりに受け止めさせていただいている」と言葉少なに返しただけだった。野党との1対1の論戦で必死さは見せなかった。

◆小学生の声にも淡々

 野党は質疑で、コロナ関連法の改正をはじめとした政府のコロナ対応を集中的に取り上げた。江田氏は、野党が昨年の臨時国会に新型コロナ特措法改正案などを提出したのに、政府・与党が審議に応じず閉会させたと指摘し「政府は改正もせずに何をやっていたのか」と追及した。
 立民の岡本章子氏は首相の会食問題に関連し、ある小学校6年生の思いを紹介。「コロナで思い出づくりの行事がなくなり、給食の時も黙って食べなくてはいけない。一生懸命、我慢しているのに、大人はどうして楽しくご飯を食べていいのか」と読み上げ、首相にメッセージを求めた。
 首相は江田氏の追及に「9月16日の就任から1日も休まず対策をしていた」と反論したが、この2カ月間の対応には言及しなかった。会食問題では「大変申し訳ない思いでいっぱいだ。安心して過ごせる日常を取り戻すことができるように頑張っていきたい」と語ったが、淡々とした口調で言葉に抑揚はなかった。

◆自民党議員も「首相の答弁にはパンチが無い」

 法改正や変異種を巡る答弁も素っ気なかった。立民の今井雅人氏は法改正を「もう少し早くやれば良かったという気持ちはないか」とただしたが、首相は昨年12月の段階では「専門家の中でも意見が分かれていた」と釈明。国内で感染が確認された変異種について、今井氏が日本に入らないよう厳しい水際の対応を求めたのに対し、首相は「そのようにする」と一言しか答弁せず自席に戻った。
 21日の参院本会議で行われた各党代表質問では、首相の答弁が短すぎだとして、参院側が丁寧な答弁を求める異例の申し入れを政府に行ったばかり。自民党の中堅議員は言う。「首相の答弁には全くパンチがない。パンチが効いていないと、耳に入ってこない」

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