【社説】GoTo事業費 補正組み替えが必要だ

2021年1月26日 08時08分
 衆院予算委員会で第三次補正予算の審議が始まった。GoTo事業の延長が焦点だがコロナ禍で事業再開のめどが立たない中、追加計上は必要なのか。組み替えて緊急を要する政策に充てるべきだ。
 政府の二〇二〇年度第三次補正予算には、GoToトラベルに一兆三百十一億円、イートに五百十五億円が追加分として盛り込まれている。
 問題は予算案をめぐる硬直的な姿勢だ。コロナ対策を目的とした三次補正の編成作業は昨年秋から年末にかけて行われた。爆発的な感染拡大はその後に起きている。
 そもそもGoTo事業は感染収束を前提としていた。感染状況が悪化すれば、それに合わせて事業のあり方を修正するのは当然だ。だが政府は現行のまま続ける構えで、その姿勢は理解しがたい。
 コロナ対策をめぐる議論のスピードも極めて遅い。本来なら年末か年明けすぐに国会を開き、優先的に審議すべきだった。
 多くの国民が苦境にあえぐ中、緊張感に欠けていると批判せざるを得ない。
 三次補正には災害対応を念頭に置いた国土強靱(きょうじん)化策や脱炭素社会に向けた対策なども盛り込まれている。重要なテーマだが、コロナ対策とは直接関係がない。
 立憲民主党など一部野党は共同で、三次補正の内容を医療支援や失業手当の引き上げなど生活支援や雇用対策に絞るよう組み替えを求めている。この要求は現在の感染状況を考慮すれば合理的であり賛同したい。
 景気について日銀は先週の金融政策決定会合で「持ち直している」との判断を改めて示した。だがコロナ関連倒産や解雇は毎月増え続けている。
 若者の就職内定率も昨年と比べ大きく落ち込んでいる。持ち直しているのは一部の業種や大企業だけというのが国民の実感ではないだろうか。
 菅義偉政権は発足以来、コロナ対策について判断のタイミングを外し続けている。GoTo事業の一時停止や緊急事態宣言の再発令はその典型例だ。
 ピントがずれている原因は、国民の声に自ら耳を傾け暮らしの現状を見極める姿勢が欠けているからだろう。
 GoTo事業再開が見通せないのは誰の目にも明らかだ。補正を直ちに組み替えて、暮らしの防衛に向け貴重な予算を再配分すべきである。

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