<新型コロナ>大企業25社が厚労省の休業手当支払い要請拒否 時短バイトらへ「義務ない」

2021年1月27日 06時00分

厚生労働省が大企業の労働者から休業支援金の申請があった場合、送付している文書。雇用調整助成金を使って、シフト労働者などにも休業手当を出すよう要請している=東京都千代田区で

 新型コロナウイルスの感染拡大で、勤務時間を短縮させたり休ませたりしたパートやアルバイトらに休業手当を支払わず、厚生労働省から支払うよう要請された大企業が少なくとも二十五社あり、全社が要請に応じていないことが分かった。緊急事態宣言の再発令で休業を迫られた大手飲食チェーンのアルバイトらが補償を受けられない事態は深刻化しており、安全網の整備が急務となっている。(岸本拓也)
 休業手当が支給されない中小企業の働き手に関し、政府は昨夏、国から直接給付金を出す「休業支援金・給付金」を創設した。労組関係者らは大企業も含めるよう主張したが、政府は大企業は「手当を支払う体力がある」と対象外にした。

休業支援金・給付金 新型コロナウイルスの影響で休業を迫られたのに、休業手当が支払われない中小企業の働き手に、休業前賃金の8割を国が直接給付する制度。昨年4月からの休業が対象で、シフト制のパート・アルバイトらも利用できる。昨年4~9月分の締め切りは今月31日に迫る。

 ただ、コロナ禍の中、大手飲食チェーンなどのアルバイトらへの手当未払いが多発。厚労省は、昨年十一月時点で未払いが把握できた大企業二十五社に文書で支払いを要請した。手当は国の雇用調整助成金で補てんされることも説明した。

◆社名や業種は公表せず

 しかし、緊急事態宣言再発令後の一月中旬にその後の各社の状況を調べると、休業手当を支払った企業はゼロ。厚労省の要請は実効性に乏しいことが浮き彫りとなった。社名や業種は公表していないが、未払いの相談が労組に相次ぐ飲食関係が多いとみられる。飲食では従業員五十人超などの場合、大企業に当たる。
 「正社員には休業手当を出してバイトに出さないのは納得できない」。横浜市内の大手ラーメン店チェーンで働くアルバイト男性(29)は訴える。男性は勤務日が半月ごとに決まるシフト制。店は今月の緊急事態宣言で閉店時間を二時間前倒しし、男性の勤務時間は大幅に減らされた。収入は三分の一以下になりそうだ。
 男性は勤務が減った分の手当を求めて会社と団体交渉したが、会社側は「勤務日確定済みの一月前半分は手当を出すが、勤務予定が出ていない一月後半は支払う義務はない」と主張、拒否し続けている。

◆シフト制労働者を休業手当の対象に

 労組「飲食店ユニオン」に寄せられる同種の相談の多くは勤務日時が固定されず、月初などに発表されるシフト制で働く非正規労働者からだ。休業手当は本来働いてもらうはずの時間に休ませる際に支払う義務があるが、シフト制の場合、企業は「勤務日が確定しているわけではない」などと拒否する例が多いという。
 同ユニオンの尾林哲矢氏は「大企業のシフト制労働者を休業支援金の対象に加えたり、企業がシフト制労働者への休業手当を支払うことを、雇調金の助成条件にするなど、早急な改善が必要だ」と話す。

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