鎮静剤を大量投与2歳児死亡 麻酔科医2人を在宅起訴 業過致死罪で東京地検 母「全員起訴されず悔しい」 父「事実と向き合って」

2021年1月27日 00時23分
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、鎮静剤「プロポフォール」を大量投与された埼玉県内の男児=当時(2つ)=が死亡した医療事故で、東京地検は26日、業務上過失致死罪で、同病院の集中治療室(ICU)の副運営部長だった小谷透医師(61)=世田谷区=と研修医だった福田聡史医師(39)=栃木県那須塩原市=を在宅起訴した。
 警視庁は昨年10月、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けて麻酔科医計6人を書類送検したが、地検はこの2人の責任が特に重いと判断。残り4人は不起訴(起訴猶予)とした。
 起訴状によると、2人は14年2月18~21日、良性のリンパ管腫の手術を終えた男児に、子どもへの使用が「禁忌」とされているプロポフォールを大量投与。心電図に異変が現れたのに投与中止などの対処を怠り、急性循環不全で死亡させたとされる。
 地検によると、小谷被告はICUの医療行為全般を統括する立場にあり、福田被告は全体量の3分の1超の投与を決めていた。
 病院が設置した第三者委員会が15年2月に公表した報告書によると、男児は約70時間にわたり約7000ミリグラムのプロポフォールを投与された。成人許容量の約2.7倍に当たるとして、「長時間の投与が死因に直接関連した可能性が高い」と指摘していた。
 厚生労働省は事故を受け、高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を取り消した。男児の両親は医師らに損害賠償を求め東京地裁に提訴しており、6月に判決が言い渡される予定。

◆母「全員起訴されず悔しい」、父「事実と向き合って」

クリスマスプレゼントを受け取って喜ぶ孝祐君=2013年12月(遺族提供)

 麻酔科医2人が業務上過失致死罪で在宅起訴されたことを受け、亡くなった孝祐君=当時(2つ)=の両親が26日、本紙の取材に心境を明かした。母親(41)は「書類送検された6人全員が起訴されず、悔しい気持ちはある」と語り、在宅起訴の2人に対しては「法廷の場で当時何があったのか、事実から逃げずに、しっかりと自分の言葉で話してほしい」と求めた。
 両親は取材の際、孝祐君の名前だけ公開している。
 不起訴となった4人には「罪が全くないというわけではないと思う。自分は助かったと思ってほしくない」と述べた。孝祐君には「これから判決までどれだけの時間がかかるか分からないが、きちんと最後まで見届ける覚悟でいると伝えたい」と話した。
 一方、父親(51)は、最愛の息子を失った約7年前の事故を振り返り、「交通事故の救急医療のように、命が1分1秒を争うような状況の手術ではなく、計画的な手術の中で起きた」と語った。
 在宅起訴された2人に対しては「集中治療室(ICU)の小児への使用は『禁忌』だった薬をあえて使ったのだから、もっと細心の注意を払って容体を管理すべきだった。自分たちがどれだけいいかげんで無責任な医療をしたのか。裁判では、その事実と向き合ってほしい」と思いを語った。(奥村圭吾、天田優里)

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