日本とロシアにラーメンの輪 東日本大震災からコロナ禍まで支え合う やるねぇ~「ヤルメン」

2021年1月27日 11時50分

サンクトペテルブルクで、東日本大震災を機に生まれた店「ヤルメン」。左は店を切り盛りするドミトリーさん

 ロシアの第2の都市サンクトペテルブルクに、東日本大震災をきっかけに生まれたラーメン店がある。2015年に日ロの有志が立ち上げた「ヤルメン」。昨年は新型コロナウイルスと闘う医師らに無償で弁当を届け、第2弾も近く始めるつもり。人々が地震と疫病を乗り越え、支え合いの輪を広げる一助になるように。(サンクトペテルブルクで、小柳悠志、写真も)

◆大震災の恩返しで出店

 ヤルメン設立の旗振り役はさいたま市の言語聴覚士、梅本和正さん(57)。東日本大震災で日本に救援隊や義援金を送ったロシアに恩義を感じたためだ。仙台市のラーメン店「麺屋政宗」が協力を買って出た。ロシアの実業家も出資した。
 日本料理といえば「すし」のイメージしかないロシアで、ラーメンや丼物を提供する草分け的な存在に。店では大震災でのロシアからの支援のお礼にと、3月11日に児童養護施設の子どもを招いてラーメンを振る舞ったり、折り紙・書道の体験会を催したり。

◆そしてコロナ…医療従事者に無料で料理を

ヤルメンから届いた料理に喜ぶロシア人医師ら=ヤルメン提供

 だが、コロナ禍は開店以来の試練になった。
 昨年春、ロシアで感染が拡大し、ペテルブルクでは店内飲食が禁じられた。売り上げは落ち込み、医療現場も混乱した。ヤルメンは「医師らを料理で支えつつ、ほそぼそとでも経営も続けよう」と考えた。
 医師らに無償で料理を届けるための資金を市民から募り、店員の雇用も維持する仕組み。こうした趣旨をホームページで告知すると35万ルーブル(約50万円)の寄付が集まった。

◆大企業も続々支援

 中でも東日本大震災から始まったヤルメンの歴史を知るトヨタや日産など日本企業の駐在員からは、大口の寄付金が届いたという。
 店でこしらえたカツ丼や焼きうどん、カレー、肉じゃがはタクシーで病院へ。「初めての和食だが気に入った。コロナが収まれば店に行く」と医師たちからは好評。第1弾が終わった7月初旬までに計1200食を届けた。
 「一つ一つの料理に全力を尽くした。医師や救急隊員を勇気づけ、店を存続させる決意も込めて」。店の共同出資者ドミトリーさん(40)はこう振り返る。小学時代は茨城県つくば市で過ごし、同級生の家でラーメンをごちそうになったというドミトリーさん。温かな丼が、麺が、人と人とをつなぐと知っている。

◆支援は続く

 ペテルブルクは11月から新型コロナの第2波が襲い、今ではロシアで感染者数が最も多い都市の一つになった。ヤルメンも苦しい経営が続くが、ドミトリーさんらは日ロで紡いだ味を守り通したいという。医療現場支援の第2弾では、料理に加え、医療用マスクの贈呈も検討している。
 同店のホームページ(HP)は「やるめん」で検索。医療者支援の情報はHP内の「#yarumen4doctors」に掲載。

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