ロシアとドイツ結ぶ天然ガス輸送管、対ロ制裁強化で完成遅れるか

2021年1月27日 20時25分
 【モスクワ=小柳悠志、ベルリン=近藤晶】ロシアとドイツを海底で結ぶ天然ガスパイプライン(輸送管)「ノルドストリーム2」の完成が遅れる可能性が出ている。ロシアの民主派野党指導者ナバリヌイ氏の逮捕を巡り、米欧が対ロ制裁強化に動いているためで、事業に関わるドイツは難しい立場に置かれている。

ロシア・モスクワ近郊の警察署から声明を出す民主派野党指導者ナバリヌイ氏=ユーチューブから、AP

 欧州連合(EU)欧州議会は21日、ナバリヌイ氏逮捕を受けてノルドストリーム2の工事中止を求める決議を賛成多数で採択した。米政府も輸送管を敷設する船を制裁対象にすることをドイツ政府に通告した。サキ米大統領報道官は26日、ノルドストリーム2について「(バイデン)大統領は欧州のためにならないと考えている」と明言した。
 ノルドストリーム2が稼働すれば、欧州はロシア産ガスへの依存度が高まり、ロシアが地政学的に有利な地位を得ると予想されていた。ロシアにとって工事遅延は打撃が大きく、ザハロワ外務省情報局長は「米国が敵対的な行為を見せている」と反発した。
 一方、ドイツのメルケル首相は21日の記者会見で、ナバリヌイ氏の即時釈放を求めたものの、ノルドストリーム2に対する「私の基本的な立場は変わらない」と述べ、現時点では事業中止に否定的な姿勢を示した。
 独政府は一貫して経済プロジェクトと主張しており、ナバリヌイ氏支持者らが大量拘束された後も、政府報道官は25日の定例記者会見で、政府のスタンスに変わりはないと強調した。事業には独企業も参加しており、経済団体は工事中止に反対している。
 メルケル氏は会見で、米新政権と協議を重ね、妥協点を見いだしたい考えを示したが、南ドイツ新聞は、メルケル氏の対応を「自己欺瞞」と批判。追加制裁や工事中止の圧力がさらに強まれば、メルケル氏は厳しい立場に追い込まれかねない。

ノルドストリーム2 全長1200キロ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアから欧州へのガス輸出の4分の1に相当する。総事業費は95億ユーロ(約1兆2000億円)で90%が完成しており、ロシアメディアによると今夏完成の見込みだった。平行する1本目のパイプライン「ノルドストリーム」は2011年に稼働を始めた。

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