意外と違う「夕焼けチャイム」 緊急事態宣言でコロナ対策も

2021年1月28日 14時12分
 日暮れどきの街を歩いていると、どこからともなく情感あふれるメロディーが聞こえてくることがある。自治体が子どもたちの安全を守るため「おうちに帰ろう」と呼びかける防災無線を使った放送だ。無線の試験運用も兼ねている呼びかけは、時刻や曲など地域によって違いがある。新型コロナの感染拡大も受け、さまざまな試行錯誤が続いている。(中村真暁)

夕焼けに浮かび上がる防災無線のスピーカー(中)=20日、東京都板橋区で

◆緊急事態宣言で「夕焼チャイム」も様変わり

 ~緊急事態宣言が出されています。夜間の外出は控えましょう~。東京都板橋区の住宅地で午後4時半、鉄塔に設置されたスピーカーから音声が流れた。
 8日から緊急事態宣言が実施され、放送内容を変えた。それまでは童謡「夕焼小焼」のメロディーと、「気をつけておうちへ帰りましょう」という音声を流していた。いわゆる「夕焼けチャイム」だ。
 区教育委員会によると、チャイムは1982年から始まった。当初は「夕焼小焼」のメロディーだけを夏(4~9月)は午後6時、冬(10~3月)は午後5時に流していたが、子どもが巻き込まれる事件が相次いだことなどから、PTA団体が「もっと早い時間から流してほしい」と要望した。2007年11月から時刻を各30分早め、帰宅を促すメッセージも加えた。一方で3月は日没時間の実態に即して夏時間にした。

◆子どもたちが日没時間を調査→区に提案

 「チャイムが鳴ってもまだ明るい時季がある」。昨年11月、子どもたちが異議の声を上げた。区立大谷口小学校に通う、いずれも4年生の森山丞さん(10)、梅田陸叶さん(10)、安納翔太さん(10)。明るい間は、公園でボール遊びや鬼ごっこをしていたい。都内の日没時刻を調べた。

防災無線のスピーカー(上)が設置された公園で遊ぶ子どもたち=20日、東京都板橋区で


 冬のチャイムが流れる午後4時半は、2月と10月はまだ明るい。夏のチャイムが鳴る午後5時半は、5~8月は日が沈む前。森山さんの母が3人に区議会に意見を届ける方法を教えてくれた。学校で児童約60人の署名を集め、陳情書を議会に提出。2月と10月、5~8月のチャイムの時刻を30分遅くすることを提案した。

◆各地で違う夕焼けチャイム

 東京23区では、22区が防災無線で帰宅の呼びかけをしている。「夕焼小焼」や、キンコンカンコンの音階でおなじみの「ウエストミンスター寺院の鐘」が多いが、「めぐろ・みんなの歌」(目黒区)のように区歌の採用もある。
 夏と冬で時刻を変えているのは、板橋区を含め12区。足立区は3パターン、葛飾区は4パターンと、きめ細かく運用。文京区は唯一、放送がない。担当者は「住民が放送に慣れすぎて重要な情報が伝わらないのが心配」と説明する。
 板橋区議会に提出された子どもたちの陳情は、最終的には「現状に妥当性がある」などとして不採択となったが、委員会の審議では「子どもの意見抜きでルールを作るのは疑問」という意見も出た。3人は「思いを伝える方法が学べたのがよかった」と口をそろえた。
 緊急事態宣言で、住民の思いが詰まったチャイムは一時的にコロナ対応にシフトした。ほかにも14区が防災無線で新型コロナの感染予防を呼びかけている。

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