<新型コロナ>自宅療養中、気づかないまま容体悪化 「ハッピー・ハイポキシア」の可能性も

2021年1月28日 20時45分
 自宅で療養中に死亡する新型コロナウイルスの患者が相次いでいる。医師が注意を促すのが「ハッピー・ハイポキシア(幸せな低酸素症)」だ。無症状や軽症だと思い込み、本人が気付かないまま重篤になることもあるという。(土屋晴康)

救急隊によって病棟に搬送されてきた新型コロナ患者(写真は一部加工済み)=横浜市金沢区で

 「搬送直後にコンピューター断層撮影(CT)検査をしたら、肺が真っ白だった患者もいる。保健所による電話の聞き取りだけでは、十分に患者の容体を把握できない可能性もある」
 新型コロナの中等症患者を受け入れる神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市)の田尻道彦所長(63)は語る。自宅療養中だった患者がセンターに運ばれて入院し、急速に症状が悪化するケースが増えている。

◆苦しさなし、手遅れになりかねず

 その要因の可能性があるハッピー・ハイポキシアとはどんな症状なのか。肺炎によって血中の酸素が不足しているのに、呼吸困難にはならない。苦しくないため「幸せな」という名が付いているが、気付いたときには手遅れになりかねないという。
 厚生労働省によると、全国で先月1日~今月25日、新型コロナ患者29人が自宅や宿泊療養先で死亡。警察庁によると、今月1~20日、死亡後に感染が判明した人を含めて75人が医療機関以外の場所で亡くなった。
 今月20日時点で、全国の自宅療養者は約3万5000人に上る。ハッピー・ハイポキシアかどうかを判断するため、自治体によっては、医療機器「パルスオキシメーター」を貸し出し、健康観察に利用している。

パルスオキシメーター

 機器を数秒間、指に挟んで、血中の酸素飽和度を測る。指先が冷えていたり、マニキュアをしていたりすると、正確に測れないこともある。測定中は安静にして、指を動かしてはいけない。健康な人は96~99%。93%以下になると、酸素投与が必要だ。
 機器は市販もされているが、需要が高まり、多くの家電販売店で品切れが続いている。メーカーは「感染した人が使うため、予防目的での購入は控えて」と呼び掛ける。
 田尻所長は、血中酸素飽和度の数値が悪化したり、体調に異変を感じたりしたら、保健所などに連絡するように呼び掛ける。
 同センターは今月、コロナ患者の病床を7床増やして40床にした。ただ「医療現場は依然として厳しい状況にある」と田尻所長。
 「とにかく、会食などマスクを外しての人との接触は避けて、感染を防ぐように。いま発症しても、すぐに入院できるとは限らないと思ってほしい」と訴える。

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