原発事故「国に責任」 市民団体がJR市川駅で訴え 来月19日、東京高裁判決

2021年1月31日 07時23分

「避難者、被災者のための判決を」と呼び掛けるメンバー=市川市で

 東京電力福島第一原発事故で、国と東電に損害賠償を求めた控訴審判決を前に、県内の有志でつくる市民団体「千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会」のメンバーが二十八日、JR市川駅(市川市)北口で街頭活動を行った。一審の千葉地裁では二〇一七年に第一陣、一九年に第二陣の判決があり、東京高裁で二月十九日に予定されるのは第一陣の判決。メンバーは「原発を推進してきた国に責任があるのは明らかだ」と、駅利用者や通行人に訴えた。 (保母哲)

◆「天災でなく人災」

 原発事故発生から三月で十年を迎えるなか、福島県から各地へ避難した住民らの集団訴訟は各地で続いている。「原発被害の深刻さとともに、国や東電問題への関心が、市民の間で薄らいでいるのでは−」。そんな危機感から、高裁判決を控えてメンバーは街頭に立つことにした。
 参加したのは、原告団の弁護士をはじめ、各地から駆け付けた十人余。通行人にチラシを手渡しながら、マイクを通して「住む場所、古里を追われた避難者のための補償を」「危険な原発と、私たちの暮らしは共存できない」などと訴えた。
 支援する会運営委員の山本進さん(73)=市川市在住=は、国の責任を認めない判決が相次いでいることを引き合いに、「世論が盛り上がれば、裁判所も国の責任を認めざるを得なくなるはず」とみる。
 「原発事故は、天災ではなく人災です」。宮城県内の友人が被災し、以来、津波被害や原発問題を注視してきた同じく運営委員の石川美知子さん(77)=千葉市在住=も、被災した多くの人へ思いを寄せる。

◆割れる司法判断

 国の責任を巡って一七〜二〇年にあった一審の地裁判決で、認めたのは七件、否定が七件。千葉地裁判決では、第一陣、第二陣訴訟とも認められなかった。
 高裁でも判断が分かれている。二〇年九月の仙台高裁は国の責任を認めたものの、今年一月の東京高裁は認めず、住民の請求を退けた。二月十九日には、再び東京高裁で判決が言い渡される。
 争点は「長期評価で大津波の発生を予見でき、原発事故を防げたか否か」。これまでの判決で、国の責任を認めた判決が「大津波は予見でき、東電に事故対策を命じれば福島原発の事故を防ぐことができた」と判断。一方、否定した判決では「実際の大津波を予見できたとは言い難く、東電に対策を取らせなかったのは違法とはいえない」などとされた。
 こうした裁判を傍聴などしてきた支援する会のメンバーは、一審判決で一七年三月の前橋地裁から一九年三月の千葉地裁・第二陣までの七件中、千葉の二件のみ国の責任が認められなかったことをいぶかる。「千葉の判決が、各地の裁判に影響を与えている可能性もある」
 高裁レベルで最初の判断となった仙台高裁判決を受け、国、住民側とも上告した。このため国の責任の有無は、最終的に最高裁で確定するまで続くとみられている。メンバーは「裁判官は良心に従って判断を」と話しながら、「多くの人がこの裁判に関心を持ってほしい」と呼び掛けている。

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