待てどもバスが来ない… コロナで相次ぐ減便、繰り上げ

2021年2月1日 06時00分
 「近所を走るバスが減便され、困っている」。千葉県鎌ケ谷市の無職角舘俊弘さん(76)から、本紙にこんな情報が寄せられた。運行するバス会社に尋ねると、コロナ禍による外出自粛でバス利用者が減り、便数の維持が難しくなったという。新型コロナウイルスの感染拡大が、路線バスという大切な地域の足にも影響している。(梅野光春)

減便前の時刻表を示す角舘俊弘さん。左上の現行ダイヤは便数が減っている=千葉県鎌ケ谷市で

 昨年11月19日のこと。「夜9時ごろ、駅で20分ほど待ってもバスが来ない。時刻表を見ると、8時以降はバスがなくなっていて、そりゃあ驚いたよ」
 角舘さんは東武アーバンパークライン(野田線)の鎌ケ谷駅から、船橋新京成バスの「パークサイド鎌ケ谷循環」で帰ろうとして減便に気付いた。この日は平日。従来は最終の午後10時2分発まで、1時間におよそ3便ずつ走っていた。同社は3日前のダイヤ改正で、終バスの時間が2時間以上繰り上がっていた。
 角舘さんの近所に住むパート佐々木美恵子さん(76)は、このバスと電車を乗り継いで週4日、船橋市の回転ずし店で働く。「仕事で遅くなり、タクシーで帰ったこともある。土日の出勤の日は、終バスに合わせると帰宅時に買い物できず困っている」と明かす。
 「地域の足を担っている立場としては、心苦しい限りだが…」。船橋新京成バスの担当者は申し訳なさそうに話す。鎌ケ谷駅を出発し、住宅街を一巡りして15分ほどで同駅に戻る路線だが、採算が合わず、他の路線の黒字で支えていたという。
 しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外出の自粛や在宅勤務が広がると業績が悪化。「今のところコロナ禍によるダイヤ改正を伴う減便は2路線だけだが、状況によっては対象が広がるかもしれない」と担当者は言う。
 ニュースにもなる鉄道とは違い、バスの減便が周知されにくいのも難点だ。あの夜、角舘さんは20分ほどかけて徒歩で帰った。「おととし免許を返上したばかりなのに。年金生活でタクシー代は惜しい。せめて夜10時くらいまではバスを走らせてほしい」と嘆いている。

◆各地で利用者減少 苦しい路線バス業界

 政府はコロナ禍でも路線バス事業の継続を求める。だが利用者の減少傾向は続き、減便に踏み切るバス会社は相次いでいる。
 東京都交通局によると、前回の緊急事態宣言下の昨年4~5月のバス利用者は前年比4割減、6月以降は同2割減で推移した。横浜市交通局や、取材に応じた首都圏のバス会社も同様の傾向だ。
 都交通局は1月の緊急事態宣言や鉄道各社の終電繰り上げに合わせ、深夜バス4路線で各1本減便し、最大22分繰り上げ。昨年4月から深夜バスの運休を続ける横浜市交通局は、11月に計13路線で便数を1割削減している。
 民間バス会社も「オンライン授業やテレワークの浸透など需要の変化があり、減便した」(神奈川中央交通)や「利用実態に合わせ減便や運休を実施している」(東急バス)と説明。ある社の担当者は「減便しないと会社の体力がもたない」とこぼす。
 影響は首都圏にとどまらず、新潟交通(新潟市)が昨年11月にグループ全体で平日のバス便を1割強減らすなど地方にも広がっている。国土交通省は2020年度第3次補正予算で、公共交通機関の支援などに305億円を計上。「路線バスなど地域の足の確保に生かしたい」としている。
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