生きている以上、一所懸命に 喜寿の小椋佳が「ラストアルバム」

2021年2月2日 07時23分

心境を語る小椋佳=東京都渋谷区で

 シンガー・ソングライターの小椋佳(おぐらけい)が喜寿(七十七歳)を迎え、「ラストアルバム」を出した。初アルバムから五十年、約七年ぶりの新作でほぼ全曲が新曲。「ファンの方も僕も高齢だけど、生きている以上は一所(いっしょ)懸命に生きましょう」と語る。
 アルバムは「もういいかい」(ユニバーサルミュージック)。十三曲中四曲は、映画の主題歌だ。「北の桜守」の主題歌「花、闌(たけなわ)の時」は、<抗(あらが)えぬ運命>などと古風な言葉が並ぶ懐かしい調べ。
 一方、タイトル曲「もういいかい」には<平等理念に背く憲法><信頼する政治家には会わずじまい>と政治的な歌詞も顔を出す。アルバム全体にストレートな言葉が増えた印象だ。
 「若い頃は疑問形の歌詞で良かったけど、年を重ねてくるとピリオドを打てる文章にしないといけない、という思いはあります。護憲か改憲かというのではなく、憲法に書かれた言葉の矛盾が納得できないんです」
 大手銀行に勤めながら作詞作曲活動を始め、「シクラメンのかほり」で一九七五年に日本レコード大賞(歌唱は布施明)。銀行を辞めてからは、年五十本から百本のステージをこなし、これまでの作品数は二千曲を超える。
 七年ほど前に「生前葬コンサート」を開いたが、その後も、「一周忌」などと銘打ってステージに立った。ここ数年は、脚の血管が細くなって痛む症状が出たため手術を重ねてもいる。
 「老衰です。毎日生きていくことが面倒なほど」と胸中を明かす。「コロナ禍はむしろ幸いでした。歌づくりという手仕事がありますから。引きこもって新曲作りでした。ただ、三時間で一曲できた昔と違い、今は三日かかる。作りながら、この言葉は前に使ったな、などと自己否定も湧くんですよ」 (中村信也)

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