苦境を生きる音楽業界 ライブ激減◆収容客削減◆売り上げ9割減

2021年2月2日 07時23分

熱演する「ハモニカクリームズ」の清野美土(中央)=横浜・野毛の「うっふ」で

 7日が期限の緊急事態宣言は延長が濃厚で、活動の制限を余儀なくされている音楽業界は、長引くコロナ禍に頭を抱えている。「生命線」ともいえるライブが激減しているミュージシャンやアイドル、時短営業や観客減に直面するライブハウスはこの苦境にどう向き合っているのか。

◆ハマかいわい 新たな営業形態の模索も

横浜・馬車道の「キングスバー」では、玉川誠オーナーがマイクスタンドなどを使った手作りの仕切りを調節していた

 一月下旬、横浜・野毛のライブハウス「うっふ」。三人組ケルトブルースバンド「ハモニカクリームズ」が圧巻の演奏を披露した。独創的なライブには定評があり海外にもファンが多い。昨年四月に出した新アルバムの発売記念ツアーが欧州七十カ所で決まっていたが、すべてキャンセル。「中止で大損害」とリーダーの清野美土(きよのよしと)(39)。国内ライブは六月に再開、月四本ほど入っていたが、再度の緊急事態宣言で今は一本ほど。
 文化芸術活動の継続支援事業など行政の支援を利用しているが「申請に持ち出しも多い。生活や自由を我慢する時かもしれないが、人間には精神的、肉体的に解放される時間が必要」と指摘する。「政府は芸術活動のデジタル化などを一部支援するが、活動をどう維持し、(携わる人が)どう生活するかは丸投げ状態」とばらまき行政を批判する。
 新旧多彩な横浜のライブハウスは暗雲が立ち込めたままだ。野毛で三十年以上続く「ル・タン・ペルデュ」も売り上げは九割減。Ikuo(イクオ)三橋オーナー(75)は「野毛は小さな店の家族経営が多いので何とか持ちこたえているが、いつまでこの状況が続くのか。街中は砂漠を一人で歩いている感じ」と人出の少なさを嘆く。「高給取りの政治家は選挙の不正や無駄遣いばかり。税金の不払い運動をやるべきかも」と憤る。
 横浜・馬車道の「キングスバー」は行政の要請に従い昨年四、五月は完全休業。現在も午後八時閉店を順守していて「昨年は売り上げは六、七割減」と玉川誠オーナー(46)。一日二万円だった時短協力金は六万円にアップしたが「この一年を乗り切るために重ね続けた借金の穴埋めにはならない」と言う。「ミュージシャンは戻ってきたが、高齢のお客は足が遠のいたまま」と厳しい現状を明かす。
 そこで知恵を絞り、新スタイルを構築した。配信機材を購入し、YouTubeで生配信するシステムはミュージシャンの利用が多い。空き時間には「完全フリープラン」も新設。一枠二時間、飲み放題食べ放題にしてプロ仕様の楽器や機材を自由に使える。四十五人収容の店だが、入場は五人まで。料金は設定せず、募金箱に入れてもらう。家族連れや仲間同士のほか、生の音楽を聴きながら描画を楽しむ人たちなど、月に二十組ほどの利用がある。玉川オーナーは「店を応援したい人たちが活用してくれる」と話す。 (立尾良二)

◆4人組アイドル「BiS」歓声×拍手や踊りで一体感

「自分たちの思いをライブで届けたい」と話すBiSのメンバー=東京都渋谷区で

 アイドルは握手会やイベントが思うように開けず、もどかしさを募らせている。そんな中、女性グループ「新生アイドル研究会(BiS(ビス))」は感染防止に細心の注意を払いつつ、工夫を凝らして難局を打破している。
 二〇一〇年に結成後、解散と新メンバーでの始動を繰り返し、一九年からはチャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、トギー、イトー・ムセンシティ部の四人で「第三期BiS」として活動している。ゾンビやヌードを思わせる過激なビジュアルも披露するなど「他とは違うアイドル」像を打ち出し人気を集めている。
 一月から六曲入り新譜「KiLLiNG IDOLS」(今月二十四日発売)リリースにちなんだ全国ツアーを敢行している。感染リスク軽減のため、遠距離でも車で移動し、動員は各施設の定員の半分以下、会場でもファンに「歓声は控えて。心の中で盛り上がってほしい」と懇願。制約のあるライブだが、ファンの大きな拍手や一体となった踊りなどで、メンバーたちは手応えをつかんでいる。
 このところ、新曲リリースの方法もユニーク。ホームページ上のどこかにその情報を掲載、宝探し感覚でファンを刺激して、五千〜六千枚限定のCDなどを完売させてきた。メンバーは「こういう状況でも待っていてくれる人がいる。BiSらしくちょっととがった形でできることをやっていく」と決意を語る。
 ツアーは十日神奈川・KT Zepp Yokohama、十二日東京・Zepp Tokyo、十四日札幌まで。 (藤浪繁雄)

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