<東海第二原発 再考再稼働>(23)圧力容器劣化にリスク 元原発技術者・服部成雄さん(76)

2021年2月2日 07時49分
 日立製作所で長年、原子炉の材料研究やトラブル時の原因究明に従事してきた。二〇一一年三月の東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発や東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発といった全国の沸騰水型軽水炉(BWR)に携わってきた。
 私が脱原発に考えを変えたのは、福島第一原発事故を経験してから。それまでにも、全国の原発で多くのトラブルに対処して、原発の脆弱(ぜいじゃく)性を知っていたことから「原発は危険なものだ」という認識はあった。だが、社内の原発推進の雰囲気にあらがうことができず、結局は黙認していた。
 原発事故の映像をテレビで見た時に、「大きな被害を出す犯罪的なものを造ってしまった」と脱力感を感じ、自分がやってきたことが全否定された気がした。
 元技術者として、反省の念を込めて原発の危険性を伝えなければならないと思い、講演や文章で再稼働のリスクを発信している。
 東海第二原発の再稼働にも反対だ。「核のごみ」をこれ以上、増やすことは許されない。その上、運転開始から四十年以上経過しており、原子炉本体の圧力容器の目に見えない経年劣化も懸念される。
 原子炉内を飛び交う中性子線が、圧力容器や内部構造物の材料の組織を傷付けてもろくする。特に、燃料集合体近くはダメージが大きい。だが、圧力容器内の材料の状態を正確に調べることは困難。中性子線が材料に与える長期的ダメージがどのように起きるかも十分に分かっておらず、研究途上の段階にある。
 このままでは、圧力容器にどの程度のダメージがあるか不明で、適正な検査もできない。そのような状況で、再稼働をしようとしている。
 再稼働前やその後の定期検査時には、圧力容器に大きな圧力をかける検査がある。検査で負荷をかけて、もし容器内に損傷があれば、破断して過酷事故が起きる可能性がある。また、直下型地震が起きた際にも、炉心部の構造物が崩壊する危険性も否定できない。
 原電が東海村など東海第二の周辺自治体で開く住民説明会に行き、質問もするが、原電は「適切にやっている」「これだけ安全対策をやっている」と答えるのみ。それでは、地元の理解を得られない。「住民をばかにしているのか」と言いたい。原電の体質も、事故前よりむしろ悪くなっていると感じる。
 東海第二は、東日本大震災から約十年間運転していない。原発がこれほど長期間動かなかったのは初めてで、再稼働すればいろいろとトラブルが起きると思われる。運転経験がある社員が少なくなっており、トラブルが起きても適切な対応ができない可能性もある。
 多くの懸念がある中で再稼働をするのは、あまりにもリスクが大きい。 (聞き手・松村真一郎)
<はっとり・しげお> 1944年、奈良県生まれ。京都大工学部を卒業後、69年に日立製作所に入社。2006年まで、原発の材料研究や設計などに従事した。工学博士。東海村在住。

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