森はなくなり、敷地の半分は「ごみ置き場」に変わった 福島第一原発の今 <あの日から・福島原発事故10年>

2021年2月3日 06時00分
 東京電力福島第一原発事故から10年を前に、本紙原発取材班は1月18日、廃炉に向けた事故収束作業が進む原発構内に入った。保管が続く大量の廃棄物や汚染処理水、原子炉建屋周辺の現状を3回に分けて報告。初回は、敷地北側(福島県双葉町)に広がる「ごみ置き場」に焦点を当てる。保管量は2020年12月28日時点。(小野沢健太、地上からの写真は山川剛史)

⑤すし詰めに並べられた事故当初に使った消防車や大型クレーン車など廃棄車両。放射能汚染で構外に出せない=1月21日、本社ヘリ「おおづる」から撮影

①毎時100マイクロシーベルト前後の放射線量があるがれきを、土で覆ったりコンテナに入れたりしているほか、奥の白いテント内でも保管

◆津波や水素爆発で出たがれき 30万9100㎥(保管容量の75%)

 おびただしい数の金属コンテナと黒い土のう袋、白いシートに覆われた地面。事故前は森だった場所を切り開いた荒れ地は、目に入るもの全てが「ごみ」だ。

②積まれたコンテナの中身は、細断されたボルト締め型タンク

 地震と大津波、1、3、4号機の原子炉建屋で起きた水素爆発などによって散乱したがれき、除染した汚染土、タンク用地の確保のために伐採した木々、作業員が使った防護服が箱詰めされたり、土で覆われたりして保管されている。

◆毎日出る使用済み防護服 3万600㎥(保管容量の45%)

作業員の防護服や手袋、靴下類は使い捨て。焼却して灰をドラム缶で保管する

 敷地北端に近いエリアは、倉庫に入りきらず野積みになった廃棄物のほかは重機が点在するだけで、人の気配がない。作業員が行き交う原子炉建屋周辺とは違い、ひっそりとしていた。

③付近の放射線量は毎時2マイクロシーベルト前後だが、コンテナに線量計を近づけると25マイクロシーベルトまで急上昇。中身は2号機の海側敷地で回収された汚染土

 エリア南側には広大な空き地。廃棄物用の倉庫が建設される用地だ。その一角に、コンテナが2段重ねで置かれている。近づくと、毎時2マイクロシーベルトを表示していた持参の放射線量計が、あっという間に毎時25マイクロシーベルトに跳ね上がった。「これは2号機の海側で回収した土ですね」と、東電の広報担当者。ここではほとんどのごみが、放射性廃棄物だ。

◆タンク用地造成で出た伐採木 13万4400㎥(保管容量の77%)

④タンク用地確保のため伐採された木々は野積みされていた

 バスで北側エリアを離れる途中、道路脇に無造作に伐採木が積まれていた。南側に広がるタンク群の敷地も、事故前は森だった。緑がほとんど見られなくなった構内を見ると、増え続ける廃棄物や処理水に対し、この先いつまで持ちこたえられるのか不安になる。
 東電は今後、焼却炉を増設し、不燃物の破砕設備も建設して廃棄物の容積を減らす計画。倉庫も増やし、2028年度にはがれき類の屋外保管を解消することを目指している。(次回は2月17日に掲載)

PR情報

社会の新着

記事一覧